[記者発表][平成10年度1月]−[7日11時記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の第15回定期検査の開始について(10−78)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。


 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉原型炉;定格出力16.5万kW)は、平成11年1月8日から約5ヶ月の予定で第15回定期検査を実施する。
  定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 核燃料物質の取扱施設および貯蔵施設
(3) 原子炉冷却系統施設
(4) 原子炉補助系統施設
(5) 計測制御系統施設
(6) 放射性廃棄物の廃棄施設
(7) 放射線管理施設
(8) 原子炉格納施設
(9) 非常用電源設備
(10) 蒸気タービン
(11) 電気設備

1. 主要改造工事等
(1) 放射性廃棄物固化装置の変更工事(図−1参照) 
 予防保全の観点から、放射性廃棄物固化装置(アスファルト固化装置)の固型化供給タンクについて、ステンレス鋼から内面ゴムライニングを施した炭素鋼製に取り替える。
 また、同タンク内の廃液の性状を一定にし、配管内の詰まりを防止するために、廃液循環ポンプを新設し常時循環させる。併せて同タンクから固型化蒸発缶までの配管を取り替える。
(2) 主排気筒トリチウムモニタの変更工事(図−2参照) 
 信頼性向上と予防保全の観点から、主排気筒トリチウムモニタを更新し、併せて、2チャンネルにして多重化を図る。
(3) 蒸気タービン低圧車室補修工事
 蒸気ドレンによる浸食(エロージョン)に対する設備保全の観点から、蒸気タービン低圧内部車室の一部について、耐食性に優れたステンレス鋼にて肉盛補修を実施する。
(4) 原子炉再循環ポンプ供用期間中検査(図−3参照)
 原子炉再循環ポンプの供用期間中検査として、4台あるポンプのうち、B、Dポンプについて、ケーシングボルト締め付け部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検する。
(5) B系原子炉冷却系統の化学除染(図−4参照)
 今定期検査で実施する原子炉再循環ポンプ等の分解点検時の作業員の被ばく低減を図るため、B系統全ての圧力管から燃料集合体を取り出した後に原子炉冷却系統へ除染剤を注入し、機器や配管内表面に付着した60Co等の放射性不純物を溶解・除去する。
(6) 亜鉛イオンの本格注入 
 平成10年度計画停止時に亜鉛注入装置(*)を設置し、亜鉛イオンの試験注入を開始しているが、今定期検査以降に本格注入を実施する。
*亜鉛注入; 原子炉冷却材中に放射化しない亜鉛イオンを注入し、燃料集合体表面および機器・配管内表面に強固な酸化亜鉛皮膜を形成させ、60Co等の放射性不純物がこれらの表面から原子炉冷却水中へ溶出しにくくする。また、これらの放射性不純物が機器・配管内表面へ再付着することを抑制することで、原子炉冷却系の放射線量を抑制する。
(7) 蓄積放射能量の調査(図−5参照)
 「ふげん」の廃止措置準備として、構造物に含まれる放射能量を評価するため、平成10年度計画停止時に原子炉廻りに設置した放射化箔(中性子照射により放射化する金属箔)の一部を回収し、中性子照射量を測定する。また、原子炉格納容器および補助建屋内のコンクリート壁や床のサンプリング調査を平成10年度計画停止に引き続き実施する。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数224体のうち36体を新燃料集合体(うち混合酸化物燃料は22体)に取り替える。

3.

運転再開予定
原子炉起動・臨界 平成11年5月中旬
発電再開(調整運転開始) 平成11年5月中旬
定期検査終了(本格運転再開) 平成11年6月中旬