[記者発表][平成10年度2月]−[17日14時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所1号機の第15回定期検査の開始について(10−90)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。


 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成11年2月19日から約5ヶ月の予定で第15回定期検査を実施する。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 非常用予備発電装置
(9) 蒸気タービンおよび蒸気タービン付属設備

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照) 
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、4台あるポンプのうち、Cポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検する。
(2) 余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事(図−2参照)
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため、工学的安全注入系の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能なように、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置する。
*1; アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2; 工学的安全注入系の再循環注入モード
 1次冷却材喪失事故時、工学的安全注入系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水ピット水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
(3) 低圧タービンロータ取替工事(図−3参照)
 第1、2、3低圧タ−ビンロータについて、耐応力腐食割れ性の向上等、信頼性確保の観点から、動翼円板とロータ車軸を現在の『焼嵌(やきば)め型ロータ』から、円板と車軸が一体化された『全一体型ロ−タ』に取替える。
(4) 発電機負荷開閉装置設置工事(図−4参照)
 所内電源の信頼性向上対策として、発電機と主変圧器の間に、発電機負荷開閉装置を設置する。
(5) 充てん/高圧注入ポンプおよび充てんポンプ取替工事(図−5参照)
 充てん/高圧注入ポンプ(2台)および充てんポンプ(1台)の計3台を保守性に優れたポンプに取り替え、充てん/高圧注入ポンプについては、主軸の剛性を高めたものとする。なお、ポンプを搬出・搬入するために、ポンプ室生体遮へい壁に仮開口部を設置し、作業後復旧する。
(6) アイスコンデンサ氷取替工事 (図−6−1図−6−2参照)
 アイスコンデンサ(*3)内の氷の補充作業の効率化および昇華抑制を図るため、氷をフレーク状からアイスブロック化し昇華抑制のフィルムを装着する。
*3; アイスコンデンサ
 1次冷却材喪失事故時に格納容器内に放出される蒸気をアイスコンデンサ内に保有している氷により凝縮し、格納容器内圧上昇を抑制する機能を有する設備。(国内では大飯発電所1、2号機でのみ採用)

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数193体のうち73体を取り替える予定である。
 新たに装荷する燃料集合体73体のうち、72体は新燃料集合体(全て高燃焼度燃料集合体)である。

3.

運転再開予定
原子炉起動・臨界  平成11年6月上旬
発電再開(調整運転開始) 平成11年6月中旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成11年7月上旬

4.

その他
 本定期検査では、当初、原子炉容器上部ふた取替工事を計画していたが、大飯発電所2号機第14回定期検査の調整運転中(1月29日)に発生した制御棒落下について、現在原因調査中であり、原子炉容器上部ふた取替工事との因果関係が明らかになっていないことから、本定期検査での取替を延期することとした。