[記者発表][平成10年度2月]−[17日14時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所2号機の点検状況について(制御棒落下に伴う原子炉手動停止)(10−91)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成10年8月29日から第14回定期検査中で、平成11年1月28日より調整運転を開始、1月29日、出力30%から50%に向けて出力上昇操作を行っていたところ、14時22分「制御棒1本炉底位置」「制御棒位置指示計重故障」の警報が発信した。調査の結果、制御棒53本のうち原子炉中央の1本(制御用Dバンク)が落下しており、これに伴い電気出力が44.3万kWから43.5万kWに低下した。
 原因調査のため発電を停止することとし、17時00分より出力降下を開始、20時00分に発電を停止した。その後、原子炉停止に向け制御棒の挿入操作を行っていたところ、同日20時21分、制御棒位置の注意警報が発信し、制御用Cバンクの1本が他のものより下方にあったことから、20時42分に原子炉手動トリップさせた。
 本事象に伴う周辺環境への放射能の影響はない。[平成11年1月29日発表済]

 原因調査として、電気系設備の点検や制御棒駆動装置の動作確認等を実施したところ、駆動用の制御回路やコイルなど電気系設備についての異常は認められなかった。しかし、制御棒動作試験において、先に動作不良があった制御棒2本については正常に動作したが、新たに別の制御棒4本について、引き抜き操作時の動作不良が認められた。
 新たに動作不良が認められた制御棒4本の動作確認時の電流値や動作音等を分析したところ、駆動装置部の制御用コイルの電流値は正常であるにも係わらず、制御棒を引き上げる際に生じる可動つかみ部とリフト磁極との当たり音が観測されず、その後の固定つかみ部の動作音も通常より小さい状況等が確認された。
 以上の調査から、今回の制御棒動作不良の原因は、可動つかみ部での制御棒引き上げ動作が、所定の時間内に正常に行われなかったことにより、その後の固定つかみ部の操作による制御棒つかみの際、正規位置(谷部)にかみこまず、動作不良(落下やスリップ現象)が生じたものと推定された。
 なお、原因については、今後も発電所での動作試験や工場での再現試験等で詳細な調査を行っていく予定である。

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0+ 0+


原子炉容器上部概略図・制御棒配置図