[記者発表][平成10年度3月]−[11日11時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所2号機の点検状況について(制御棒落下に伴う原子炉手動停止)(10−93)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成10年8月29日から第14回定期検査中で、調整運転中の1月29日14時22分、制御棒53本のうち1本(制御用Dバンク)が引き抜き操作時に落下する事象が発生し、これに伴い電気出力が44.3万kWから43.5万kWに低下した。
 原因調査のため、同日20時00分に発電を停止し、原子炉停止のため制御棒の挿入操作を行っていたところ、20時21分、制御用Cバンクの1本が他のものより下方にあったことから、20時42分に原子炉手動トリップさせた。
 本事象に伴う周辺環境への放射能の影響はない。[平成11年1月29日発表済]

 原因調査として、制御棒駆動装置の動作確認等を実施したところ、先に動作不良があった2本は正常に動作したが、別の制御棒4本で引き抜き操作時の動作不良(落下やスリップ現象)が認められた。電気系設備に異常は認められなかった。
 今回発生した制御棒動作不良の原因は、制御棒駆動軸の可動つかみ部で、制御棒引き上げ動作が正常に行われなかったため、その後の固定つかみ部の動作が正規の位置(駆動軸の谷部)で行われなかったためと推定された。[平成11年2月17日発表済]

 今回の原因は、制御棒駆動装置の可動つかみ部が正常な引き上げ動作をしていないと推定されることから、発電所において、制御棒駆動装置外面の温度分布や駆動装置の据え付け状態等の確認を行うとともに、1次冷却材の温度を変化させた状態での制御棒駆動装置の動作確認を行った。これまでのところ、可動つかみ部の動作が若干緩慢であることは再現されたが、明らかな異常は見つかっていない。
 今後も詳細な原因調査を行うため、本日より、原子炉容器の上蓋を取り外し、これまで動作不良が認められた制御棒を含む6本の制御棒駆動装置について、駆動軸外筒部(ハウジング)を切断し、駆動機構の分解調査を行うこととしている。
 なお、工場においては、実機モデルを用いた動作試験および装置構成部品の品質確認等の各種試験を継続していくこととしている。

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0+ 0+


制御棒駆動機構点検調査概要図