[記者発表][平成10年度3月]−[24日16時記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の燃料交換プール水の漏えいの原因と対策について(10−99)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。


 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉原型炉;定格出力16.5万kW)は、平成11年1月8日から第15回定期検査を行っているが、燃料交換機の分解点検後の作動確認のため、燃料交換機上部のスナウト部(継ぎ手)を燃料交換プール下部に接続し、燃料交換機グラブ機構(つかみ具)の昇降試験を行っていたところ、3月18日19時50分、「燃料交換プール水位異常」警報が発信した。現場確認の結果、燃料交換プール水位が若干低下し、燃料交換機下部床面に漏えいを発見した。また、燃料交換機スナウト部の排水弁が「開」であったため、直ちにトランスファーポート弁(交換プールの下部仕切弁)等を「閉」とし、19時51分漏えいを停止した。
 今回の事象による周辺環境への放射能の影響はない。

 原因調査の結果、グラブ昇降試験前に、スナウト排水弁の開閉動作試験を行っており、この試験終了後、当該弁の制御系を通常と逆の制御状態で復旧した。このため当該弁が「開」となっており、その状態で燃料交換機を燃料交換プールと接続したため、スナウト排水系統から燃料交換プール水が漏えいしたものと推定された。[平成11年3月19日発表済み]

 その後詳細に調査した結果、スナウト排水弁の開閉動作試験は、制御系の計算機プログラムを用いて実施していたが、試験終了後に、試験前のプログラムとの照合や弁状態の確認を行わなかったことから、通常とは逆の制御状態で復旧したことが分かった。その状態で、グラブ昇降試験のため燃料交換機を燃料交換プールに接続し、トランスファーポート弁を「開」操作したためプール水が漏えいしたものと判明した。

 対策として、
1) 燃料交換機作動試験要領書について、以下の点を明確に記載し、確実な操作を行うよう徹底した。
弁の動作試験のうち、制御系の計算機プログラム操作により試験を行う場合は、試験終了毎に操作前のプログラムとの照合・復旧をサイクル機構職員立会のもと確実に行うこと
グラブ昇降試験前にはスナウト排水系統等の状態確認を確実に行うこと
2) スナウト排水弁が「開」状態において、トランスファーポート弁が「開」操作できないようインターロックを追加することとした。
3) 今回の事象を踏まえ、過去に発生したヒューマンエラーに起因したトラブルについて詳細に要因分析を行い、その結果を今後の保全活動等に反映する。

原子炉建屋断面図・燃料交換プール水漏えい状況図