[記者発表][平成10年度3月]−[26日14時記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の主変圧器用遮断器の損壊の原因と対策について(10−100)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉原型炉;定格出力16.5万kW)は、平成11年1月8日から第15回定期検査を行っているが、2月4日0時43分、送電線と主変圧器間に設置されている主変圧器用遮断器内に封入されている遮断用ガス(SF:六フッ化イオウ)の圧力低下を示す「52G SFガス圧低」警報が発報した。
 また、現場調査により、3台(A、B、C各相1台ずつ)ある主変圧器用遮断器のうち、C相遮断器の主変圧器側のブッシング(碍子)が破損して、遮断器内にある導体が抜け出ていることが確認された。[平成11年2月4日記者発表済]

1. 調査結果
 主変圧器用遮断器の破損した碍子を含む6本について、工場にて詳細調査した結果は以下の通りである。
(1) 破損碍子
外表面に飛来物等が当たった痕跡はないが、破断面の観察結果から外表面から破断したことがわかった。
電子顕微鏡による組織観察を行った結果、製造時の焼成不良に見られる長形の気孔が多く認められた。また、これにより当該碍子は水分を吸収し易いことがわかった。
碍子成分の分析結果では、破断部近傍は碍子下部と比較して、アルカリ分(Na等)を多く含んでいることがわかった。
上部金具部内の碍子に働いている応力を測定した結果、破損した碍子は他の碍子に比べて応力(碍子を締め付ける力)が大きいことがわかった。
(2) 破損碍子以外
破損碍子以外の5本について超音波探傷検査を行った結果、3本の碍子については破損碍子と同様な信号指示が認められたことから、焼成不良の可能性が高いことがわかった。

2.

原因推定
 碍子が破損に至ったメカニズムは以下の通りと推定される。
(1) 破損碍子は製造時の焼成不良により水分を吸収し易い状態であったことから、雨水の侵入により碍子と上部金具とを接着するセメントから溶出したアルカリ分が碍子上端部から碍子内部へ浸透した。
(2) 浸透したアルカリ分は、碍子主成分のシリカ(石英:SiO2)と反応し、アルカリ生成物に変化することで材質強度低下及び体積膨張を起こした。(アルカリ・シリカ反応)
(3) この体積膨張に伴い碍子には応力が発生するが、上部金具により膨張が拘束され上部金具下端部付近に過大な応力が加わるとともに、材質強度が低下していたことから破損した。

3.

対策
主変圧器用遮断器の碍子をすべて(6本)新品に取り替える。
起動用変圧器用遮断器の碍子について、念のため、今定期検査において超音波探傷検査を行い健全性の確認を行う。
 なお、遮断器損壊の影響により損傷した周辺機器については、補修及び部品の交換を行った。


所内電源系統概要・C相しゃ断器の損壊状況
しゃ断器碍子破損進展フロー