[記者発表][平成10年度4月]−[17日11時記者発表] 原子力安全対策課
平成10年度原子力発電所の運転・建設計画について(10−4)

 安全協定に基づき、各施設設置者から連絡された平成10年度の運転・建設計画は、以下のとおりである。

1.

運転計画の概要(図−1参照)

 平成10年度県内原子力発電所(建設中の高速増殖原型炉もんじゅを除く)14基の平均の時間稼働率は約85%、設備利用率は約82%である。

2.

建設計画の概要

 平成10年度の高速増殖原型炉もんじゅの起動試験工程は、平成7年12月8日に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため未定である。
 なお、「もんじゅ」については、科学技術庁より原子炉等規制法に基づき、平成9年9月11日から1年間の原子炉の運転停止命令が出されている。


3.

実証試験の概要
 平成10年度の実証試験計画は、平成8年度から実施している「大飯発電所4号機の高燃焼度燃料の先行照射」がある。

表−1 平成10年度実証試験計画
発電所名 試験項目 概要
大飯発電所
4号機
高燃焼度燃料8体の先行照射 高燃焼度燃料(55,000MWd/t)の実用化に先立ち照射する。(平成9年3月〜平成13年度)

4.

原子炉設置変更許可申請計画

 平成10年度の原子炉等規制法に基づく「原子炉設置変更許可申請」の計画は、敦賀発電所および高浜発電所で次の内容が計画されている。


表−2 平成10年度原子炉設置変更許可申請
発電所名 申請概要
敦賀発電所
1号炉への9×9燃料(高燃焼度化燃料)の装荷
1号炉の新型制御棒(長寿命型)の採用
高浜発電所
3号炉および4号炉へのMOX燃料の装荷
3号炉および4号炉の使用済燃料貯蔵設備の1号炉および2号炉との共用化

(参考)
原子炉設置変更許可申請中の件名
発電所名 申請概要
敦賀発電所
(H9.8.1申請)
雑固体減容処理設備の設置[プラズマ溶融による処理設備の設置]
2号炉原子炉建屋内の1号炉および2号炉の使用済燃料貯蔵設備の増強[使用済燃料ラックの改造(リラッキング)による容量増強]
美浜発電所
(H10.2.3申請)
3号炉の使用済燃料貯蔵設備の増強[使用済燃料ラックの改造(リラッキング)による容量増強]
増強した使用済燃料貯蔵設備の1号炉および2号炉との共用化
大飯発電所
(H9.8.1申請)
3号炉および4号炉の使用済燃料貯蔵設備の増強[予備ピットの施設整備による容量増強]
増強した使用済燃料貯蔵設備の1号炉および2号炉との共用化

5.

主要設備の増・改造工事計画の概要(表−3参照)
(1) 日本原子力発電(株)

 敦賀発電所では、復水脱塩装置使用済樹脂受タンク設置工事および放射性廃棄物処理施設整備工事を平成8年度より継続して実施している。
 また、現在、原子炉設置変更許可申請中の使用済燃料貯蔵ラックの改造(リラッキング)工事および雑固体減容処理設備設置工事を平成10〜12年度の予定で実施する計画である。

(2) 動力炉・核燃料開発事業団

 新型転換炉ふげん発電所では、亜鉛注入装置設置工事および重水精製装置用トリチウム除去装置の増強工事を実施する計画である。
 また高速増殖原型炉もんじゅでは、排水モニタの増設工事等を計画している。

(3) 関西電力(株)美浜、大飯、高浜発電所

 原子炉容器上部ふた取替工事については、平成10年度は大飯発電所1号機および2号機で実施する計画である。
 この他、美浜発電所および高浜発電所での廃樹脂処理装置の設置等の工事や高浜発電所での特高開閉所の改造工事が継続して実施されている。


6.

燃料輸送計画の概要(表−4参照)
(1) 新燃料集合体については、県内の10プラントにおいて合計528体の輸送が計画されている。
(2) 今年度の使用済燃料集合体の輸送計画はない。

7.

低レベル放射性固体廃棄物輸送計画の概要(表−5参照)

 敦賀発電所および高浜発電所において、合計4,072本の低レベル放射性固体廃棄物を日本原燃株式会社六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターへ輸送する計画である。


表−3 平成10年度主要設備の増・改造工事
(1) 日本原子力発電株式会社

工事件名 敦賀 工事概要
1号機 2号機
復水脱塩装置使用済
樹脂受タンク設置工事
使用済樹脂貯蔵タンクの増設に併せ、使用済樹脂の貯蔵方法を見直し、復水脱塩装置使用済樹脂受タンクを1基設置する。
放射性廃棄物処理施設
整備工事
1号機放射性廃棄物処理施設のうち、設備保守点検の合理化等を目的として、現在使用していない設備等を撤去する(〜H13度)。
使用済燃料貯蔵ラック
改造工事
1号および2号機の使用済燃料の貯蔵容量の増加を図るため、2号機原子炉建屋内の1号および2号機使用済燃料貯蔵ラックを新ラックに取り替える(〜H12度)。
雑固体減容処理設備
設置工事
雑固体廃棄物および1号機で発生する復水脱塩装置使用済樹脂等を減容処理するため、1号および2号機共用の雑固体減容処理設備を設置する(〜H12度)。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
(2) 動力炉・核燃料開発事業団

工事件名 ふげん もんじゅ 工事概要
重水精製装置用トリチウム
除去装置増強工事
重水精製装置用トリチウム除去装置の能力を増強するため、既存設備と同じ方式のトリチウム除去装置を追設する。
亜鉛注入装置
設置工事
Co−60等の放射性核種の配管内表面への付着を抑制し、作業員の被ばく低減を図るため、亜鉛注入装置を設置し、原子炉冷却材中に亜鉛を注入する。
排水モニタの
増設工事
設備運用の向上を図るため、取水・排水配管および排水モニタを増設する。
微調整棒駆動機構荷重
増加の調査
微調整棒駆動機構上部案内管部において、ナトリウムの付着と考えられる駆動荷重の増加が確認されているため、当該部の分解調査を行う。
1次アルゴンガス系圧力差
増加の調査および対策
1次アルゴンガス系のベーパートラップ出口と圧縮機入口との間の圧力差が増加していることから、系統内部の調査を行うとともに、調査結果をもとに対策工事を実施する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
(3) 関西電力株式会社

工事件名 美浜発電所 大飯発電所 高浜発電所 工事概要
1号機 2号機 3号機 1号機 2号機 3号機 4号機 1号機 2号機 3号機 4号機
原子炉容器上部ふた
取替工事
長期的な設備信頼性維持の観点から、管台材質等を改良したものに取り替える。
充てんポンプ取替工事 信頼性向上および保守性向上のため国産品に取り替える。
充てん/高圧注入
ポンプ取替工事
信頼性向上および保守性向上のため国産品に取り替える。
低圧タービンロータ
取替工事
一体型ロータに取り替え、応力腐食割れに対する信頼性向上を図る。
一次冷却材ポンプ
主フランジボルト取替工事
(2台)
(1台)
(3台)
(1台)
(2台)
(2台)
作業性向上・被ばく低減のため、スタッドボルトによる自動締緩式に取り替える。
廃樹脂処理装置
設置工事

(共用)

(共用)

(共用)
廃樹脂貯蔵タンクに貯蔵保管している使用済イオン交換樹脂から放射能を分離する固体処理装置を設置する。
雑固体処理装置
設置工事

(共用)

(共用)
雑固体廃棄物(金属、フィルター等の不燃物)を固型化処理する装置を設置する。
廃樹脂処理建屋
設置工事
(共用)
雑固体処理設備も収容:
第2固体廃棄物処理建屋

(共用)
廃樹脂処理装置(および雑固体処理設備)を収容する処理建屋を設置する。
排気筒モニタ等
取替工事
信頼性・保守性向上のため、排気筒ガスモニタおよび格納容器ダスト、ガスモニタを取り替える。
特高開閉所の改造工事 電源系統信頼性向上のため、新たに設置する500kV送電線へ接続するため特高開閉所の改造を行う。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
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表−4 平成10年度新燃料集合体輸送計画
発電所 体数 輸送時期 輸送元 備考
敦賀2号機 32 第1四半期 三菱原子燃料(株)  
28 第1四半期 三菱原子燃料(株)  
16 第1四半期 原子燃料工業(株)熊取製造所  
新型転換炉
ふげん
発電所
18 第1四半期 動燃事業団東海事業所 MOX燃料
10 第3四半期 動燃事業団東海事業所 MOX燃料
24 第4四半期 原子燃料工業(株)  
美浜1号機 20 第1四半期 三菱原子燃料(株)  
美浜3号機 52 第3四半期 三菱原子燃料(株)  
大飯1号機 32 第1四半期 三菱原子燃料(株)  
16 第1四半期 ウエディングハウス社(米国)  
大飯2号機 10年4月14日 原子燃料工業(株)熊取製造所  輸送完了
48 第1四半期 三菱原子燃料(株)  
高浜1号機 52 第3四半期 原子燃料工業(株)熊取製造所  
高浜2号機 48 第1四半期 原子燃料工業(株)熊取製造所  
高浜3号機 64 第2四半期 三菱原子燃料(株)  
高浜4号機 30 第3四半期 原子燃料工業(株)熊取製造所  
30 第3四半期 原子燃料工業(株)熊取製造所  
輸送体数、時期は変更することがある。
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表−5 平成10年度低レベル放射性固体廃棄物搬出計画
発電所名 輸送本数 輸送時期
敦賀発電所 1,096 平成10年5月
高浜発電所 1,720 平成10年4月
1,256 平成10年10月
輸送体数、時期は変更することがある。
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