[記者発表][平成10年度4月]−[17日11時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所3号機の原子炉起動と調整運転開始について(第5回定期検査)(10−5)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所3号機(加圧水型軽水炉;定格出力118.0万kW)は、本年3月16日から第5回定期検査を実施していたが、4月20日に原子炉を起動し、同日、臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、4月下旬(4月22〜24日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、5月中旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

タービンバランシング作業(調整運転開始前にタービンの回転数を上昇させて振動を測定し、振動が大きい場合には、タービンの車軸におもりを取り付け、振動が小さくなるように調整する作業)の実施の有無により、調整運転の開始が前後する。


1. 燃料集合体の検査結果

 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数193体のうち、85体(うち76体が新燃料集合体で、新燃料は全て高燃焼度燃料集合体)を取り替えた。


2.

蒸気発生器伝熱管の渦電流探傷検査結果
 蒸気発生器伝熱管全数(13,528本)について、渦電流探傷検査を実施した結果、異常は認められなかった。

3.

主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)

 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、4台あるポンプのうち、Bポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検した。

(2) 余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事(図−2参照)

 アクシデントマネジメント対策として、工学的安全注入系の再循環モード(*1)の多様化を想定し、長期的に炉心冷却を継続し、炉心損傷を防止するため、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能なように、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置した。

*1 工学的安全注入系の再循環モード
 1次冷却材喪失事故が発生すると、工学的安全注入系(高圧注入系、低圧注入系)が起動し、燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入する。この状態が継続し、燃料取替用水ピットの水位が低下すると、漏えいして格納容器再循環サンプに溜まっている冷却水を余熱除去ポンプにより原子炉に注入する再循環モードに移行し、長期的な炉心冷却ができるようになっている。
(3)

原子炉格納容器供用期間中検査(図−3参照)

 原子炉格納容器(プレストレスト・コンクリート製格納容器:PCCV)の供用期間中検査として、縦方向緊張ケーブル4本および円周方向緊張ケーブル5本について引張り力を測定し、適切な緊張力が確保されていることを確認した。


4.

次回定期検査の予定
 平成11年 夏頃