[記者発表][平成10年度6月]−[8日16時30分記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の原子炉自動停止の調査状況について(計画停止のための原子炉停止操作中)(10−26)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。


1. 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、計画停止のため6月5日11時43分に発電を停止した。その後、原子炉停止操作中(原子炉出力約0%)の同日13時47分「重水ダンプタンク水位低低」の信号により「重水スローダンプ」信号が発信し、原子炉(カランドリアタンク)の重水が重水ダンプタンクに排水され、13時48分「重水水位低低」の信号により原子炉が自動停止した。
自動停止後、原子炉建屋および補助建屋の重水機器等の室内や放射線モニタを点検したが、重水漏れ等の異常がないことを確認した。
なお、今回の停止による周辺環境への放射能の影響はない。[平成10年6月5日記者発表済]

2.

原因調査として、当時の運転操作や主要パラメータを調査した結果、これまでの調査で以下の状況が判明した。
(1) 原子炉の重水水位は、重水系統のカバーガスであるヘリウムガスの圧力差(原子炉下部ダンプ側約0.5kg/cm2と原子炉上部オーバフロー側約0.15kg/cm2)によって調整しているが、原子炉停止時には原子炉の温度低下に伴うガス圧の低下を補うため、系統外からヘリウムガスの補給操作を行っている。
(2) 今回の停止時も、手動でヘリウム補給弁の開閉操作を行っていたが、12時半頃に弁操作スイッチの動作不良が発生したことから、当該弁の閉動作を確保する方策を検討した結果、当該弁制御用回路の電源ヒューズを取り外す措置で対応することとした。
(3) 13時47分頃、ヘリウム補給弁操作スイッチの不良が再発し、閉できなかったことから、制御用回路の電源ヒューズ取り外しを行うこととしたが、誤ってダンプ時循環弁の電源ヒューズを取り外したため、ダンプ時循環弁が開動作した。ダンプ時循環弁が開動作したことでヘリウムガスの圧力差がなくなり、オーバフロー側から重水ダンプタンクへの戻りが少なくなる状態となった。
(4) その状態で、重水循環ポンプによる原子炉側への供給が継続されたため、「重水ダンプタンク水位低低」の信号が発信し、「重水スローダンプ」が動作し、これによりカランドリアタンクの「重水水位低低」信号により原子炉が自動停止したものと推定された。

3.

今回の原因となったヘリウム補給弁操作スイッチは、工場にて詳細調査を行うとともに、現場では重水ダンプタンク水位計やヘリウム補給弁等の調査も実施しており、これらの調査結果も踏まえ、今後、再発防止対策の検討を行う予定である。


科学技術庁による
国際原子力事象評価尺度(INES)の評価
0(暫定評価)



重水・ヘリウム系概要図(通常運転時)
主要パラメータ
ヘリウム補給弁概要図・重水系計装盤(