[記者発表][平成10年度6月]−[19日14時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1号機の原子炉起動と調整運転開始について(第25回定期検査)(10−27)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、本年3月19日から第25回定期検査を実施していたが、6月20日に原子炉を起動し、同日、臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、6月下旬(6月23〜26日頃(*))に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、7月下旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

*; タービンバランシング作業(調整運転開始前にタービンの回転数を上昇させて振動を測定し、振動が大きい場合には、タービンの車軸におもりを取り付け、振動が小さくなるように調整する作業)の実施の有無により、調整運転の開始が前後する。


1. 燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数308体のうち、54体(うち52体が新燃料集合体で、新燃料は全て高燃焼度燃料集合体)を取替えた。

2.

主要工事等
(1) 低圧タービン内部車室取替工事(図−1
 低圧タービンの内部車室について、予防保全の観点から、耐浸食性に優れた材料を用いた内部車室に取替えた。
(2) 主発電機固定子巻線取替工事(図−2
 主発電機の固定子巻線の絶縁の信頼性維持の観点から、固定子巻線を取替えた。
(3) 原子炉圧力容器内のシュラウドの点検工事(図−3
 シュラウド(*)の溶接部について、水中テレビカメラによる目視点検を行い、健全性を確認した。
*; シュラウド
 原子炉圧力容器内において、原子炉冷却水の流路を形成するため、炉心の外周部に設置された円筒形のステンレス製構造物。
(4) 原子炉圧力容器供用期間中検査(図−3
 原子炉圧力容器の供用期間中検査として、溶接部について超音波探傷検査を行い、健全性を確認した。
(5) 原子炉格納容器冷却系・原子炉停止時冷却系接続工事(図−4
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、原子炉への注水手段の多様化を図るため、原子炉格納容器冷却系ポンプを利用して原子炉停止時冷却系配管から原子炉に注水できるよう、連絡配管を設置した。
 また、格納容器冷却系熱交換器を原子炉停止時の冷却に利用できるよう、同系統間に連絡配管を設置するとともに、格納容器冷却系熱交換器を取替えた。(定期安全レビュー(*2)としての信頼性向上)
*1; アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2; 定期安全レビュー
 安全性、信頼性のより一層の向上を図る目的で、事業者の自主保安として定期的に発電所の安全性を運転経験および最新の技術的知見に基づき包括的に評価すること。
(6) タービングランド蒸気復水器点検工事(図−5
 本年2月4日に発生したタービングランド蒸気復水器の伝熱管漏えい事象を受け、当該復水器の開放点検を実施した。
 その結果、蒸気入口部周辺の伝熱管外面で、グランド蒸気による浸食と考えられるなだらかな減肉を確認した。一方、既に施栓している伝熱管以外のものについては減肉の進展は僅かであり、今後の運転においても問題ないことを確認したが、予防保全の観点から、念のため、伝熱管全数(計163本)を取替えた。

3.

次回定期検査の予定
 平成11年 夏頃