[記者発表][平成10年度9月]−[3日15時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所2号機の定期検査状況について(キャノピーシール部からの漏えい)(10−45)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成10年8月29日から第14回定期検査を実施しているが、運転中の本年7月末頃から原子炉格納容器内のサンプ水位の上昇率および原子炉格納容器ダストモニタ(放射性じんあいモニタ)の値がわずかずつ上昇し、通常に比べ若干高い値で推移したことから、1次冷却材漏えいの疑いがあると考え、運転中において、原子炉格納容器内の点検を行ったが、点検した範囲では異常は認められず、監視強化を継続してきた。
 定期検査開始後、原子炉格納容器内の運転中に点検できなかった箇所について現場点検を実施したところ、原子炉容器上部ふたに取り付けられている炉内温度計装用管台1本(全5本)の上部にあるキャノピーシール(漏れ止め)溶接部下側にホウ酸の付着が発見された。このため、当該部について外観観察および浸透探傷検査を実施した結果、キャノピーシール溶接部に沿って長さ約2mmの欠陥指示(傷)が確認された。なお、当該キャノピーシール部については、昭和59年の第4回定期検査時に損傷が確認され補修溶接を実施している。今後、当該損傷部を切り出し、試験施設にて詳細原因調査を実施する予定である。
 なお、このことによる周辺環境への放射能の影響はない。

 大飯2号機では、今回の定期検査で、原子炉容器上部ふたの取替え工事を行うこととしており、新しい上部ふたは、制御棒駆動装置等の保護筒や管台部の材料を耐応力腐食割れに優れたものに変更するとともにキャノピーシールのない構造に変更する等の改善を図っている。

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−


原子炉格納容器内概要図
大飯発電所2号機損傷状況