[記者発表][平成10年度9月]−[25日11時記者発表] 原子力安全対策課
高速増殖原型炉もんじゅの平成10・11年度設備点検について(10−50)

 このことについて、動力炉・核燃料開発事業団から下記のとおり連絡を受けた。

 高速増殖原型炉もんじゅ(高速増殖原型炉;定格出力28.0万kW)は、平成7年12月8日に発生した、2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため停止しているが、設備・機器の保安確保のため、毎年計画的に実施している設備点検を平成10年9月28日より約11ヶ月の予定で実施する。

 今回の設備点検では、毎年実施している安全保護系計器等の点検、1次および2次主冷却系主循環ポンプの点検、ディーゼル発電機設備の開放点検等を実施する。
 また、設備保全の観点から、排水モニタの増設工事や空調用冷媒設備の代替フロン化工事、制御盤内電装品の交換工事等を実施するほか、総合機能試験時に確認された微調整棒の駆動荷重増加の原因調査を行うため、微調整棒駆動機構上部案内管部の分解調査を実施する。

1. 設備の点検
設備 点検内容
計器の点検 安全保護系や放射線モニタ関係の計器類について、点検校正を実施する。
1次主冷却系設備 1次主循環ポンプ(A)の軸封部のメカニカルシール分解点検等を実施する。
2次主冷却系設備 2次主循環ポンプ(A、B)のメカニカルシール分解点検、ポニーモータ分解点検、補助冷却設備の空気冷却器(B)、空気冷却器用送風機(B)の開放点検等を実施する。
1次アルゴンガス系設備 圧縮機(A、B)の分解点検等を実施する。
原子炉補機冷却水系設備 原子炉補機冷却水ポンプ(C3)の分解点検、熱交換器(A、B、C1、C2)の開放点検等を実施する。
原子炉補機冷却海水系設備 原子炉補機冷却海水ポンプ(A、C1)の分解点検、海水ストレーナの開放点検等を実施する。
機器冷却系設備 冷却ポンプ(A、B、C)の分解点検等を実施する。
制御用圧縮空気設備 空気圧縮機(A、B)の分解点検、空気除湿装置除湿塔(A、B)の開放点検等を実施する。
放射性廃棄物処理設備 気体廃棄物処理系廃ガス圧縮機(A、B)の分解点検、液体廃棄物処理系廃液蒸発濃縮装置廃液加熱器(B)の開放点検等を実施する。
燃料取扱設備 燃料池水冷却浄化装置循環ポンプ(A)の分解点検等を実施する。
工学的安全施設 原子炉格納施設機器搬入口の漏えい率試験、アニュラス循環排気装置ヨウ素用フィルタユニット(A)の開放点検等を実施する。
換気空調設備 中央制御室浄化フィルタユニットの開放点検等を実施する。
ディーゼル発電機設備 ディーゼル発電機(A、B、C)の分解点検、起動用空気装置空気だめの開放点検等を実施する。

2.

設備保全等の工事
(1) 微調整棒駆動機構荷重増加調査工事(図−1参照)
 3系統ある制御棒駆動機構のうち、微調整棒駆動機構(3基)については、総合機能試験時より、駆動機構上部案内管部にナトリウム化合物が付着したためと推定される駆動荷重の増加が確認されていることから、原因調査のため、上部案内管部の分解調査を実施する。
(2) 制御盤内電装品の交換(図−2参照)
 ナトリウム漏えい事故に伴い、エアロゾルの付着のあった制御盤については、清掃を実施するとともに点検を行い、健全性を確認しているが、信頼性確保の観点から、制御盤内での基盤およびリレー等の電装品の交換を計画的に実施する。今年度においては、2次系ナトリウムの温度や液位の監視等を行っている制御盤(7面)について実施する。
(3) 中央計算機の機能強化(図−3参照)
 中央計算機の運転監視支援機能の強化を図るため、データ伝送装置およびデータ収録装置の増設を行う。これにあわせて、西暦2000年問題対応としてソフトの改造も行う。
(4) 炉外燃料貯蔵設備予熱制御システムの改善工事(図−4参照)
 燃料取扱設備計算機が停止した場合にも、炉外燃料貯蔵設備の予熱ヒータの電源制御が可能なようにバックアップ用の計算機を設置するとともに、外部電源喪失時において小口径配管内でのナトリウム凍結防止を図るため、小口径配管の予熱ヒータについては、非常用電源から給電するように変更する。
(5) 排水モニタの増設工事(図−5参照)
 建設所から放出される排水中の放射能濃度を連続的に測定、監視する排水モニタは、現在、1系統設置されているが、系統配管(海水配管)中で貝が付着・成長し、系統を閉塞する可能性があるため、排水モニタ1系統を追加設置する。
(6) 空調用冷媒設備の代替フロン化(図−6参照)
 環境対策(オゾン層保護)のため、空調用冷媒設備の冷凍機3台のうち1台について、冷凍機の冷媒として使用しているフロン(R−11)を代替フロン(R−123)に変更する(他の2台についても来年度以降に順次実施する)。
(7) 原子炉補機冷却海水系配管の交換工事(図−7参照)
 原子炉補機冷却海水系配管(3系統)のうち、放水ピット直前の配管については、放水ピットからの海水飛沫により配管外表面の腐食が進行していることから、外表面に防食性の高い塗料を施した配管に交換する。


平成10・11年度設備点検工程