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敦賀発電所1号機の9×9燃料の採用計画に係る事前了解願いについて(10−68) |
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本日、日本原子力発電株式会社から、敦賀発電所1号機の9×9燃料の採用計画について、原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書に基づき、事前了解願いが提出された。
県としては、この計画について今後十分説明を受け、県議会での議論や立地市の意見も十分踏まえ、安全の確保を最優先に慎重に対処していく。
〈事前了解願いの概要〉 |
使用済燃料の発生量を低減するため、ウラン濃縮度を高め高燃焼度化された9×9燃料(集合体最高燃焼度55,000MWd/t)を敦賀発電所1号機の取替燃料として採用する。 |
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(別紙)
(1) |
発電所名 |
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敦賀発電所 |
(2) |
変更する施設名 |
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燃料集合体(1号機) |
(3) |
変更する理由 |
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使用済燃料の発生量を低減するため、現在採用している高燃焼度8×8燃料(集合体最高燃焼度50,000MWd/t)に比べ更に高燃焼度化された9×9燃料(集合体最高燃焼度55,000MWd/t)を1号機の取替燃料として採用する。 |
(4) |
構造及び設備 |
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9×9燃料は74本の燃料棒(標準燃料棒66本及び部分長燃料棒8本)と2本のウォータ・ロッドを9行9列の正方形に配列し、燃料集合体に組み立てたものである。
9×9燃料の仕様は以下の通りとする。
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燃料集合体最高燃焼度を55,000MWd/tとする。 |
・ |
ウラン235平均濃縮度を約3.7wt%とする。 |
・ |
燃料棒の1本当りの出力負担を軽減するため、燃料棒を細径化し、9行9列の燃料棒配列とする。 |
・ |
燃料集合体上部の流路面積を増大し圧力損失の低減を図るとともに適切な水対ウラン比とするため、部分長燃料棒8本を採用する。 |
・ |
適切な水対ウラン比とするため、燃料棒7本分の領域を2本のウォータ・ロッドとする。 |
・ |
照射による燃料棒伸びの吸収等のため、改良型タイ・プレートを採用する。 |
なお、高燃焼度8×8燃料と同様、スペーサ及び燃料被覆管には丸セル型スペーサ及びジルコニウムライナ被覆管を採用し、一部の燃料棒にはガドリニア入り燃料ペレットを使用する。 |
(5) |
装荷計画 |
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9×9燃料は、平成13年度に実施予定の第27回定期検査より装荷を開始し、以降順次装荷していき、最終的には全炉心に装荷する予定である。 |
(6) |
説明資料 |
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a. |
施設の使用に関する説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
添付資料1 |
b. |
施設の安全設計に関する説明・・・・・・・・・・・・・・ |
添付資料2 |
c. |
周辺環境への影響に関する説明・・・・・・・・・・・・ |
添付資料3 |
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(添付資料1)
9×9燃料は、これまでの良好なBWR燃料の照射実績を基にして、より一層の使用済燃料の発生量の低減を図る目的で開発された燃料である。
9×9燃料は、燃料集合体平均濃縮度(ウラン235)を高燃焼度8×8燃料の約3.4wt%から約3.7wt%に高めることにより、燃料集合体取出平均燃焼度を高燃焼度8×8燃料の約38,000MWd/t(集合体最高燃焼度50,000MWd/t)から約45,000MWd/t(集合体最高燃焼度55,000MWd/t)に上げている。
a. |
9行9列の燃料棒配列の採用 |
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燃料棒を9行9列に配列し、燃料棒本数を増加することにより、平均線出力密度を低減し、最大線出力密度制限値に対する余裕を増している。 |
b. |
部分長燃料棒の採用 |
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約3分の2の燃料棒長さの部分長燃料棒8本を採用することにより、燃料集合体上部の流路面積を増大し圧力損失の低減を図るとともに適切な水対ウラン比を設定している。 |
c. |
ウォータ・ロッド2本の採用 |
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燃料棒7本分の領域を2本のウォータ・ロッドとし、適切な水対ウラン比を設定している。 |
d. |
改良型タイ・プレートの採用 |
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上部タイ・プレートの高さを短くすることにより、照射による燃料棒の伸びを吸収するためのスプリング部分の長さを長くし、伸び吸収余裕を増している。また、集合体全体の圧力損失を従来と同等とするため、部分長燃料棒の採用による圧力損失低下分を下部タイ・プレートの圧力損失増加に振り分けている。 |
また、スペーサについては、高燃焼度8×8燃料と同様丸セル型スペーサを採用し、限界出力の向上を図っているが、軸方向7ヶ所のスペーサのうち上部2ヶ所については、部分長燃料棒を採用することにより8個の丸セルが不要となっている。燃料被覆管については、高燃焼度8×8燃料と同様耐PCI(ペレット−被覆管相互作用)性能の優れたジルコニウムライナ被覆管を採用している。核分裂生成ガス放出に関しては、従来と同様の燃料ペレットを使用しているが、9×9格子の採用による線出力密度の低減の効果等により燃料棒内圧は従来と同程度となっている。一部の燃料棒にはガドリニア入り燃料ペレットを使用することとし、ガドリニア濃度は2〜4wt%程度で、燃料集合体1体当りのガドリニア入り燃料棒本数は11〜13本程度とする。
9×9燃料は、現在採用している高燃焼度8×8燃料との共存性を有する設計としており、取替第1サイクルから全炉心に装荷するサイクルまで適切な炉心特性が維持されることを確認している。
9×9燃料は、海外では1990年から先行使用が開始され、既に約8000体の使用実績があり、国内でも平成8年度より福島第二発電所1、2号機で少数体先行使用が行われている。
(添付資料2)
(1) |
熱・機械設計 |
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9×9燃料について、高燃焼度化に伴う炉内滞在期間の長期化、中性子照射量の増加を考慮し、燃料被覆管円周方向塑性歪、燃料温度、燃料棒内圧、燃料被覆管応力及び疲労等を評価した結果、従来の高燃焼度8×8燃料とほぼ同等の評価結果であり、熱・機械特性上問題ないことを確認している。 |
(2) |
核設計 |
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9×9燃料を装荷したサイクル以降の代表炉心について、停止余裕、最大線出力密度、最小限界出力比(MCPR)及び最高断面平均線出力密度に関する制限値を満足しており、また、ドップラ係数、減速材ボイド係数等の反応度係数については高燃焼度8×8燃料と同等であり、核設計上問題ないことを確認している。 |
(3) |
熱水力設計 |
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9×9燃料について、圧力損失特性、限界出力特性に関する試験等を実施した結果、高燃焼度8×8燃料と同等であり、熱水力設計上問題ないことを確認している。 |
(4) |
核熱水力安定性 |
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9×9燃料について、チャンネル安定性、炉心安定性及び領域安定性を評価した結果、設計基準を満たしており、核熱水力安定性上問題ないことを確認している。 |
以上より、炉心の安全設計に問題のないことを確認している。
(添付資料3)
9×9燃料装荷時の安全評価に係る核分裂生成物の放出量は、高燃焼度8×8燃料装荷時と比較すると大きな差はなく、線量評価結果にも大きな差はない。また、平常時の線量評価に用いる放出量に変更はない。
従って、9×9燃料装荷による周辺環境への影響はない。
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項目 |
高燃焼度8×8燃料 |
9×9燃料 |
1. |
燃料集合体 |
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燃料棒配列 |
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燃料棒ピッチ |
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燃料棒数 |
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平均濃縮度* |
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最高燃焼度 |
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8×8 |
約16mm |
60本 |
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約3.4wt% |
50,000MWd/t |
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9×9 |
約14mm |
74本 |
(内部分長燃料棒8本) |
約3.7wt% |
55,000MWd/t |
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2. |
燃料棒 |
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外形 |
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燃料被覆管肉厚 |
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燃料棒有効長さ |
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燃料被覆管材質 |
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ペレット直径 |
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ペレット−被覆管間隙 |
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ペレット密度 |
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He加圧量 |
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ガドリニア濃度** |
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(ガドリニア入り燃料棒数) |
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約12.3mm |
約0.86mm |
約3.7m |
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ジルカロイ−2 |
(ジルコニウム内張) |
約10.4mm |
約0.20mm |
約97%TD |
約0.3MPa |
2〜5wt% |
(9〜11本) |
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約11.2mm |
約0.71mm |
標準燃料棒約3.7m |
部分長燃料棒約2.1m |
ジルカロイ−2 |
(ジルコニウム内張) |
約9.6mm |
約0.20mm |
約97%TD |
約0.3MPa |
2〜4wt%程度 |
(11〜13本程度) |
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5. |
タイ・プレート |
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上部タイ・プレート |
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下部タイ・プレート |
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* |
: |
平均濃縮度とは、燃料集合体内の各燃料棒において濃縮度に変化を持たせた設計としていることから、全燃料棒の濃縮度の平均値を取った値である。 |
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平均濃縮度 |
= |
燃料集合体内の全ウラン235の重量 |
× |
100 |
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(wt%) |
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燃料集合体内の全ウラン重量 |
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** |
: |
ガドリニア濃度とは、ガドリニア入りペレット中のガドリニアの重量割合である。 |
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ガドリニア濃度 |
= |
ペレット内のガドリニアの重量 |
× |
100 |
|
(wt%) |
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ペレット内の二酸化ウラン及びガドリニアの重量 |
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