[記者発表][平成10年度12月]−[16日15時資料配付] 原子力安全対策課
高浜発電所の原子炉設置変更許可について(10−75)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。
 県としては、高浜発電所3号機および4号機のウラン・プルトニウム混合酸化物燃料装荷計画が安全協定に基づく了解事項であることから、この計画を最終的に了解するかどうかについては、国の安全審査の結果を確認することはもとより、国民合意の形成や地域振興の充実等への国や事業者の取組み等を確認するとともに、県議会での議論や高浜町の意見等を十分踏まえ、改めて総合的に判断していく。

 関西電力株式会社は、高浜発電所3号機および4号機のウラン・プルトニウム混合酸化物燃料装荷計画等について、平成10年5月11日、通商産業省に対し原子炉等規制法に基づく原子炉設置変更許可申請を行っていたが、本日、通商産業省から原子炉設置変更許可を受けた。


〈許可の概要〉
1. 3号機および4号機へウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を装荷する。

2.

3号機および4号機の核燃料物質取扱設備の一部ならびに使用済燃料貯蔵設備を1号機および2号機と共用化する。

3.

1、2、3、4号機の使用済燃料の再処理委託先確認方法を一部変更する。



(別紙)

1. ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の装荷

対象プラント 高浜発電所3、4号機
変更内容 3号機および4号機へウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を装荷する。これに伴い、燃料取替用水タンクのほう素濃度を変更する。
変更理由 資源の有効利用および使用済燃料の適切な処理処分の観点から、使用済燃料を再処理して得られるプルトニウムを利用したウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を取替燃料の一部として装荷する。
また、MOX燃料の使用に伴う、ほう素価値の低下を考慮し、燃料取替用水タンクのほう素濃度を高める。
工程
3号機 平成12年実施の第12回定期検査で装荷予定
4号機 平成11年実施の第11回定期検査で装荷予定

2. 核燃料物質取扱設備の一部と使用済燃料貯蔵設備の共用化

対象プラント 高浜発電所1、2、3、4号機
変更内容 3号機および4号機の核燃料物質取扱設備の一部ならびに使用済燃料貯蔵設備を1号機および2号機と共用化する
変更理由 1号機および2号機の使用済燃料の貯蔵裕度を確保するため、3号機および4号機の核燃料物質取扱設備の一部ならびに使用済燃料貯蔵設備を1号機および2号機と共用化する
工程 平成11年より共用化予定

3. 使用済燃料の再処理委託先の確認方法の一部変更

対象プラント 高浜発電所1、2、3、4号機
変更内容 使用済燃料の再処理委託先確認方法を一部変更する。
変更理由 使用済燃料の再処理委託先については、搬出前までに政府の確認を受けることが可能なように変更する。



第1表 燃料集合体の設計値

項目
ウラン燃料 MOX燃料
1. 燃料材
ペレット

ウラン235濃度数

プルトニウム富化度
 集合体平均
 ペレット最大
プルトニウム組成比
ペレット初期密度


wt%


wt%
wt%

二酸化ウラン焼結ペレット
(一部ガドリニアを含む)
約4.1以下
(ガドリニア入り燃料は約2.6以下)

理論密度の約95

ウラン・プルトニウム混合
酸化物焼結ペレット
約0.2
 〜約0.4

約4.1wt%濃縮ウラン(*)相当以下
13以下
原子炉級
同左
2. 燃料棒
被覆材
被覆棒外径
被覆管厚さ
燃料棒有効長さ

mm
mm
m

ジルカロイ−4
約9.5
約0.6
約3.7

同左
同左
同左
同左
3. 燃料集合体
配列
燃料棒ピッチ
燃料棒本数
制御棒案内シンブル本数
炉内計装用案内シンブル本数
集合体最高燃焼度

mm
MWd/t

17×17
約13
264
24
48,000

同左
同左
同左
同左
同左
45,000
(*) プルトニウムと混合するウランの反応度寄与も含む。
原料のプルトニウムの核分裂性プルトニウム同位体割合が約68wt%、プルトニウムと混合するウラン母材のウラン235濃度が約0.2wt%の場合には、燃料集合体平均プルトニウム富化度は約9wt%となる。


第1図 ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料集合体のプルトニウム富化度分布
第2図 高浜発電所構内配置図