[記者発表]−[平成11年度2月]−[8日13時記者発表] | 原子力安全対策課 |
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敦賀発電所1号機のシュラウドサポート部損傷の調査状況について(11−144) | ![]() |
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このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。
記 |
敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、平成11年8月20日から第26回定期検査を開始し、シュラウド取替工事を行っていたところ、12月9日、下部シュラウドサポート部の溶接部等に複数のひび割れが認められた。
このため、切断保管していた上部シュラウドサポート部も含め、詳細な状況調査を実施した。その結果、ひび割れが認められた部位は、
(1) | 下部シュラウドサポート部と原子炉圧力容器との取付溶接部(内側) |
(2) | 下部シュラウドサポート部母材部(インコネル材平板)の縦溶接部 |
(3) | 下部シュラウドサポート部母材部に施工された溶接部や溶接部跡 |
(4) | 下部シュラウドサポート部と上部シュラウドサポート部(ステンレス材)との溶接部 |
に発生しており、これらひび割れ部位の表面組織観察(レプリカ観察)結果で、割れは溶接部の金属組織の結晶粒界に沿った特徴が観察された。
このため、原因調査として、各割れ部の金属サンプル片等を採取し、破面観察、金属組織観察、硬さ測定、化学成分分析等の調査や割れの深さ測定等を実施することとした。
なお、本事象に伴う環境への放射能の影響はない。[平成11年12月10日、12月22日発表済み]
採取した金属サンプル片等の調査は現在も実施しているが、これまでの調査で、一部(3ヶ所)が貫通し、(4)の上部シュラウドサポート部外側にも一部(10ヶ所)ひび割れが認められるが、割れの殆ど(293ヶ所)は、下部シュラウドサポート部の内側の溶接部であった。各部((1)〜(4))のひび割れは、それぞれの溶接部に発生しており、溶接金属組織の結晶(柱状晶組織)粒界に沿った特徴が認められた。また、(2)(3)(4)のシュラウドサポート部母材部では、溶接部の割れが枝分かれし、母材(インコネルまたはステンレス材)組織でのひび割れも一部認められた。
下部シュラウドサポート部と原子炉圧力容器との取付溶接部(内側)のひび割れ5箇所について、段階的に切削し深さ測定を行ったところ、深さは最大約34mmで、ひび割れが原子炉圧力容器本体(低合金鋼)にまで至っていないことが確認された。
これまでの調査で、今回の損傷は、インコネル材の溶接部に発生した応力腐食割れの可能性が高いと推測されることから、引き続き、金属サンプル片の破面観察等の詳細調査を継続するとともに、割れ発生の要因として考えられる材料組成や残留応力を含む応力評価、運転時の環境条件を把握するため、シュラウドサポート部に係る製造履歴や運転履歴の調査、応力解析評価等を行う予定である。
また、下部シュラウドサポート部の取付溶接部(内側)については、ひび割れが多いことから、これらについては割れの大きさを把握するため、全て切削する予定である。
(通商産業省によるINESの暫定評価尺度) | ||||||||
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(別紙)
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1. | ひび割れ発生部の概要 | ||||||||||||||||||||||||
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2. |
レプリカ調査 |
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ひび割れが認められた部位のうち、17箇所について表面の組織観察(レプリカ観察)を実施しているが、これまで14箇所について調査が終わり、割れの特徴は、金属組織の結晶粒界に沿ったものであることが観察された。 引き続き、残りの3箇所について調査を実施している。 |
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3. |
サンプル調査 |
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上部・下部シュラウドサポート部およびシュラウドサポート取付溶接部のひび割れ発生箇所よりサンプル13箇所を選定し、破面観察等を実施している。これまでに終了した9箇所のうち、代表4箇所の調査結果は以下のとおりで、5箇所は評価中である。残りについては、引き続き調査を実施している。
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4. |
ひび割れの深さ測定・確認(添付4参照) |
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シュラウドサポートと原子炉圧力容器との取付溶接部のひび割れ5箇所の深さを測定したところ、最大約34mmの深さとなっており、原子炉圧力容器本体には至っていなかった。 また、シュラウドサポート取付溶接部のひび割れ部について全て研削し、割れの程度を確認する。 なお、今後調査状況に応じて、サンプル調査等を追加して実施する。 |