[記者発表][平成11年度2月]−[14日11時資料配布] 原子力安全対策課
高浜発電所3号機の第12回定期検査について(11−145)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所3号機(加圧水型軽水炉;定格出力87.0万kW)は、平成12年2月16日から約3カ月の予定で第12回定期検査を実施する。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 非常用予備発電装置
(9) 蒸気タ−ビンおよび蒸気タ−ビン付属設備

1. 主要工事等
(1) 原子炉容器照射試験片取出工事
 中性子照射による原子炉容器の材料特性変化を定期的に把握するため、原子炉容器内部に設置している照射試験片を計画的に取り出す。
(2) 原子炉容器供用期間中検査等
 原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器内の溶接部等について、超音波探傷検査を行ない、健全性を確認する。
 また、キャノピーシール健全性確認のため、制御棒駆動装置キャノピーシール全数について、渦電流探傷検査を実施する。
(3) 余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事(図−1参照)
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため、工学的安全注入系の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能なように、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置する。
*1 アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2 工学的安全注入系の再循環注入モード      
 1次冷却材喪失事故時、工学的安全注入系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水ピット水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
(4) 発電機負荷開閉装置設置工事(図−2参照)
 所内電源の信頼性向上対策として、発電機と主変圧器の間に、発電機負荷開閉装置を設置する。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数157体のうち、57体を取り替える予定である。取替燃料のうち52体は、新燃料集合体である。

3.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−3参照)
 高浜発電所3号機の再生熱交換器は、内筒を有する構造であるが、流動模擬試験に基づく応力評価や実機の胴変位測定により敦賀2号機と同様の損傷は発生しないことが確認されている。
 また、今定期検査において、以下の点検を実施する予定である。
(1) 再生熱交換器の点検
 中間胴本体抽出水出口付近母材部(第1、2支持リング間)、連絡管溶接部、及び連絡管エルボ母材部(37箇所)について、超音波探傷検査を実施し、健全性を確認する。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(39箇所)を抽出し、健全性を確認する。また、熱成層による高サイクル熱疲労の事象を反映して、類似箇所(2箇所)の点検を実施する。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(10箇所)について、超音波探傷検査を実施する。

4.

運転再開予定
原子炉起動・臨界 平成12年4月下旬
発電再開(調整運転開始) 平成12年4月下旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成12年5月下旬