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調査結果 |
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今回の原子炉手動停止に至るまでの運転操作について調査した結果、以下の事実が判明した。
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2月19日10時35分頃から、わずかな真空度低下が確認されたため、運転員はCRTで復水器の真空度を監視していた。 |
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このCRT画面には、復水器真空度と発電機出力が並列に表示されていた。
10時35分の復水器真空度は730.6mmHg、発電機出力は704.2MWeであった。 |
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10時46分には復水器真空度が約727mmHgまで徐々に低下してきたことから、CRTを監視していた運転員は、構内通信設備にて補機員に復水器の点検を指示した。その後CRT画面を見た際、発電機出力(700MWe)のデジタル表示値を復水器真空度(実際は約727mmHg)と見誤り、当直課長も同様の誤認し、発電機負荷降下操作を指示した。 |
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運転員の誤認はその後も続き、10時49分、復水器の真空度が発電機出力値(580MWe→mmHg)まで低下したものと誤認し、当直課長も真空の維持が困難と誤って判断し、タービンの緊急手動停止操作を行った。 |
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原因 |
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今回の運転では、発電機出力を60%(約706MWe)として復水器の点検作業を行っており、その状態で復水器の真空度がわずかに低下する事象が発生した。運転員は関連パラメータの確認を行ったが、点検作業による復水器への空気の漏れ込みの可能性も想定した。このことが背景となって、その後の運転監視において、運転員がCRT監視画面上で隣り合わせになっていた復水器真空度と発電機出力の表示値を見誤った後は、当直課長もこれを追認し、出力降下の過程においても、その誤認が修正されなかったため、タービンの緊急手動停止操作を行ったことが判明した。 |
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対策 |
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今回の原因は、当直課長を含む運転員の監視画面指示値の誤認であり、それが修正されなかったことから、全運転直員に対して、運転監視、直内連携の重要性などの基本動作について再教育を行うこととした。
また、今回のヒューマンエラーを教訓として、直全体の行動について分析を行い、教育メニュー等の充実を図り、運転訓練センターでの訓練等に反映する。 |
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(通商産業省によるINESの暫定評価尺度) |
基準1 |
基準2 |
基準3 |
評価レベル |
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0− |
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復水器の真空度が低下した原因(図−3参照) |
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復水器の真空度がわずかに低下した原因について、復水器点検作業の実績や真空維持のための真空ポンプ等の性能や機器の分解点検を実施した。
その結果、B−復水器真空ポンプのエゼクタノズルに設置されている凍結防止用ヒータのコイル断線が認められ、これにより真空度がわずかに低下したものと推定された。当該ヒータを新品と取替える等の対策を実施することとした。 |