[記者発表][平成11年度4月]−[1日14時記者発表] 原子力安全対策課
大飯発電所1号機の定期検査状況について(キャノピーシール部の点検結果および燃料集合体支持格子の損傷の調査状況)(11−1)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成11年2月19日から第15回定期検査を実施しているが、原子炉容器上部ふたに設置された制御棒駆動装置ハウジング等のキャノピーシール部について点検した結果、下部キャノピーシール部1ヶ所に信号指示が認められた。また、燃料集合体の外観検査を実施したところ、3月15日に1体の燃料集合体について支持格子の一部に変形が認められたが、他の1体についても同様に支持格子の一部に変形が認められた。
 なお、これらの事象に伴う環境への放射能の影響はない。

(1) キャノピーシール部の点検結果(図−1

 今定期検査において、原子炉容器上部ふた取替工事を延期したことから、原子炉容器上部ふたの制御棒駆動装置ハウジング等のキャノピーシール部全数(上部53ヶ所、中間部61ヶ所、下部78ヶ所、合計192ヶ所)の点検を行った。
 渦電流探傷検査の結果、予備管台の下部キャノピーシール部1ヶ所に信号指示が認められた。
 原因は、以前に認められたものと同様、キャノピーシール溶接部近傍で溶接時の残留応力等により内面から応力腐食割れが発生したものと推定された。
 このため、信号指示の認められた下部キャノピーシール部について、信号指示部位を切削し溶接補修した上で、キャノピーシール全周の肉盛溶接を行う。

(2)

燃料集合体支持格子の損傷の調査状況(図−2

 定期検査として、3月8日から燃料集合体の外観検査を行っていたところ、3月15日、燃料集合体1体の支持格子の一部に変形が認められた。[平成11年3月15日記者発表済]
 引き続き、今回原子炉から取り出した燃料集合体全数について外観点検を行った結果、3月29日、別の燃料集合体1体の支持格子の一部にも変形が認められた。
 また、変形が認められた2体の燃料集合体に隣接する燃料集合体の外観点検で、変形のあった支持格子に対面する支持格子の一部にこすれ跡が認められたが、その程度は軽微であり燃料集合体の健全性に問題はなかった。
 燃料集合体の支持格子が変形した原因として、当該燃料集合体を炉内に装荷または取り出す際に、隣接する燃料集合体と接触した可能性が考えられることから、工場での再現試験や当該燃料集合体取扱い時の操作等の調査を実施中である。


(燃料集合体支持格子の損傷についての
通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−