[記者発表][平成11年度4月]−[26日15時記者発表] 原子力安全対策課
平成11年度原子力発電所の運転・建設計画について(11−13)

 安全協定に基づき、各施設設置者から連絡された平成11年度の運転・建設計画は、以下のとおりである。
 なお、県としては、敦賀発電所1号機および美浜発電所1号機について、今年度の定期検査終了後の運転において運転開始後30年を経過することから、日本原子力発電株式会社および関西電力株式会社に対し、定期検査開始前までに今後の運転方針を示すよう要請している。

1.

運転計画の概要(図−1参照)

 平成11年度県内原子力発電所(建設中の高速増殖原型炉もんじゅを除く)14基の平均の時間稼働率は約78%、設備利用率は約77%である。
 なお、関西電力株式会社は、高浜発電所3号機および4号機のプルサーマル計画について、高浜発電所4号機の第11回定期検査でのMOX燃料装荷が困難となったため、今後、燃料装荷の諸準備が整った段階で計画停止し、MOX燃料を装荷することとしている。


2.

建設計画の概要

 平成11年度の高速増殖原型炉もんじゅの起動試験工程は、平成7年12月8日に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故のため未定である。
 なお、昨年9月から毎年計画的に実施している設備点検を本年9月までの予定で実施する。


3.


実証試験の概要(表−1参照)

 平成11年度の実証試験計画は、平成8年度から実施している「大飯発電所4号機の高燃焼度燃料の先行照射」がある。

表−1 平成11年度実証試験計画
発電所名 試験項目 概要
大飯発電所
4号機
高燃焼度燃料8体の先行照射  高燃焼度燃料(55,000MWd/t)の実用化に先立ち照射する。(平成9年3月〜平成13年度)
元の位置へ▲

4.

原子炉設置変更許可申請計画(表−2参照)

 平成11年度の原子炉等規制法に基づく「原子炉設置変更許可申請」の計画は、大飯発電所で次の内容が計画されている。


表−2 平成11年度原子炉設置変更許可申請
発電所名 申請概要
大飯発電所
1・2号炉共用の原子炉補機冷却設備を各号機の専用設備に改造
1〜4号炉の使用済燃料の再処理委託先確認方法を一部変更

(参考) 原子炉設置変更許可申請中の件名
発電所名 申請概要
敦賀発電所
(H11.2.12申請)
1号炉への9×9燃料(高燃焼度化燃料)の装荷
1号炉の新型制御棒(長寿命型)の採用
元の位置へ▲

5.


主要設備の増・改造工事計画の概要(表−3参照)

(1)

日本原子力発電株式会社

 敦賀発電所1号機では、定期検査において、シュラウド取替工事等を実施する計画である。
 また、敦賀発電所では、使用済燃料貯蔵ラックの改造(リラッキング)工事および雑固体減容処理設備設置工事を継続して実施している。

(2) 核燃料サイクル開発機構

 新型転換炉ふげん発電所では、重水精製装置用トリチウム除去装置の増強工事等を継続して実施している。
 高速増殖原型炉もんじゅでは、1次アルゴンガス系圧力損失増加の対策工事等を実施する計画である。

(3) 関西電力株式会社(美浜、大飯、高浜発電所)
 原子炉容器上部ふた取替工事については、美浜発電所1号機および2号機の定期検査で実施する計画である。
 使用済燃料貯蔵設備増強工事については、大飯発電所3号機および4号機において、使用済燃料プールの増設(Bピット)工事を実施する計画である。また、美浜発電所においては、安全協定に基づく事前了解が得られ次第、使用済燃料貯蔵ラックの改造(リラッキング)工事を実施する計画である。
 この他、美浜発電所および高浜発電所において、廃樹脂処理装置の設置工事や高浜発電所での特高開閉所の改造工事等が継続して実施されている。

6.


燃料輸送計画の概要(表−4参照)

(1) 新燃料集合体

 県内の11プラントにおいて、合計560体(高浜発電所3、4号機のMOX燃料除く)の輸送が計画されている。
 なお、高浜発電所3号機および4号機のMOX燃料輸送は、燃料装荷の諸準備が整った段階で実施する。

(2) 使用済燃料集合体

 今年度の使用済燃料集合体の輸送計画はない。
 なお、ふげん発電所では、使用済燃料集合体の受入先である核燃料サイクル開発機構東海再処理工場の受入条件が整っていないため未定である。


7.


低レベル放射性固体廃棄物輸送計画の概要

 今年度の低レベル放射性固体廃棄物の輸送計画はない。




表−3 平成11年度主要設備の増・改造工事
(1) 日本原子力発電株式会社
工事件名 敦賀 工事概要
1号機 2号機
シュラウド取替工事 応力腐食割れの予防保全対策の一環として、シュラウドを取り替える。
放射性廃棄物処理施設
整備工事
1号機放射性廃棄物処理施設のうち、設備保守点検の合理化等を目的として、現在使用していない設備等を撤去する。
使用済燃料貯蔵ラック
改造工事(リラッキング)
1号および2号機の使用済燃料の貯蔵容量の増加を図るため、2号機原子炉建屋内の1号および2号機使用済燃料貯蔵ラックを新ラックに取り替える。
雑固体減容処理設備
設置工事
雑固体廃棄物および1号機で発生する復水脱塩装置使用済樹脂等を減容処理するため、1号および2号機共用の雑固体減容処理設備を設置する。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中

(2) 核燃料サイクル開発機構
工事件名 ふげん もんじゅ 工事概要
排気筒トリチウム
モニタ更新工事
信頼性・保守性向上のため、排気筒トリチウムモニタを更新し、併せて、1チャンネルから2チャンネルに多重化する。
重水精製装置用トリチウム
除去装置増強工事
重水精製装置用トリチウム除去装置の能力を増強するため、既存設備と同じ方式のトリチウム除去装置を追設する。
1次アルゴンガス系
圧力損失増加の対策
1次アルゴンガス系で、ナトリウム付着による圧力損失の増加が確認されたことから、系統へのナトリウム持ち込み量低減のため、フィルタ追加設置等の対策工事を行う。
FBRサイクル総合研修
施設の建設工事
プラント保全に係わる技術者の研修、FBRに関する教育、専門家の育成を目的として、白木地区に建設。
研究棟の建設工事 もんじゅを活用した研究、研究機関との技術交流・国際協力及び高速増殖原型炉の情報公開を目的として、白木地区に建設。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中

(3) 関西電力株式会社
工事件名 美浜発電所 大飯発電所 高浜発電所 工事概要
1号機 2号機 3号機 1号機 2号機 3号機 4号機 1号機 2号機 3号機 4号機
原子炉容器上部ふた
取替工事
長期的な設備信頼性維持の観点から、管台材質等を改良したものに取り替える。
充てんポンプ
取替工事
信頼性向上および保守性向上のため国産品に取り替える。
充てん/高圧注入
ポンプ取替工事
信頼性向上および保守性向上のため国産品に取り替える。
低圧タービンロータ
取替工事
一体型ロータに取り替え、応力腐食割れに対する信頼性向上を図る。
一次冷却材ポンプ
主フランジボルト
取替工事
(2台)
(1台)
(3台)
(1台)
(2台)
(2台)
(1台)
(2台)
作業性向上・被ばく低減のため、スタッドボルトによる自動締緩式に取り替える。
廃樹脂処理装置
設置工事

(共用)

(共用)

(共用)
廃樹脂貯蔵タンクに貯蔵保管している使用済イオン交換樹脂から放射能を分離する固体処理装置を設置する。
雑固体処理装置
設置工事

(共用)

(共用)

(共用)
雑固体廃棄物(金属、フィルター等の不燃物)を固型化処理する装置を設置する。
廃樹脂処理建屋
設置工事
(共用)
雑固体処理設備も収容:
第2固体廃棄物処理建屋

(共用)
廃樹脂処理装置(および雑固体処理設備)を収容する処理建屋を設置する。
使用済燃料貯蔵
能力増強工事

リラッキング

リラッキング

Bピット
増設

Bピット
増設

Bビット
増設

Bビット
増設
使用済燃料増強のため、使用済燃料プールの増設、または使用済燃料貯蔵ラックの稠密化を図る。
アイスコンデンサ
氷取替工事
保守性向上のため、アイスコンデンサ氷昇華対策として氷ブロック化し昇華抑制フィルムを装着する。
排気筒モニタ等
取替工事
信頼性・保守性向上のため、排気筒ガスモニタおよび格納容器ダスト、ガスモニタを取り替える。
特高開閉所の
改造工事
電源系統信頼性向上のため、新たに設置する500kV送電線へ接続するため特高開閉所の改造を行う。
<凡例> 今年度予定工事 前年度から工事中
工事計画あり 実施済
元の位置へ▲
表−4 平成11年度新燃料集合体輸送計画
発電所 体数 輸送時期 輸送元 備考
敦賀1号機 40 第1四半期 日本ニュークリア・フュエル(東海)  
敦賀2号機 12 第1四半期 原子燃料工業(熊取)  
32 第1四半期 三菱原子燃料(東海)  
20 第1四半期 三菱原子燃料(東海)  
新型転換炉
ふげん
発電所
12 第3四半期 サイクル機構(東海) MOX燃料
10 第4四半期 サイクル機構(東海) MOX燃料
18 第4四半期 原子燃料工業(東海) 二酸化ウラン(14)、特殊燃料(4)
美浜1号機 36 第3四半期 三菱原子燃料(東海)  
美浜2号機 16 H11.4.2 原子燃料工業(熊取) 輸送完了
16 H11.4.7 原子燃料工業(熊取) 輸送完了
大飯2号機 32 第3四半期 三菱原子燃料(東海)  
44 第3四半期 原子燃料工業(熊取)  
大飯3号機 52 第1四半期 三菱原子燃料(東海)  
大飯4号機 24 第1四半期 三菱原子燃料(東海)  
40 第1四半期 原子燃料工業(熊取)  
高浜1号機 30 第3四半期 原子燃料工業(熊取)  
26 第3四半期 原子燃料工業(熊取)  
高浜2号機 60 第2四半期 三菱原子燃料(東海)  
高浜3号機 16 第1四半期 シーメンス・パワー社(米国)  
24 第3四半期 三菱原子燃料(東海)  
注1) 輸送体数、時期は変更することがある。
注2) 高浜発電所3号機および4号機のMOX燃料輸送は、MOX燃料装荷計画の諸準備が整った段階で実施する。
元の位置へ▲