[記者発表][平成11年度4月]−[30日11時資料配付] 原子力安全対策課
美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画に係る了解について(11−15)

 関西電力株式会社から、平成9年11月25日に安全協定に基づき事前了解願いのあった、美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画について、安全審査の結果、中間貯蔵施設に係る状況等を確認するとともに、県議会での議論や立地町の意見等を踏まえ、本日了解した。
 なお、工事実施にあたっては、品質管理、施工管理に万全を期すこと、また、2010年までに発電所敷地外での使用済燃料中間貯蔵施設が確実に操業開始できるよう、全社をあげて積極かつ着実に取り組むことを申し入れた。



(参考)

県内原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画について

1. 概要
 平成9年3月28日、関西電力株式会社と日本原子力発電株式会社は、使用済燃料対策について、使用済燃料の搬出計画と各発電所の貯蔵能力の観点から、当面の対応として発電所の貯蔵能力の増強等を行うとともに、発電所敷地外貯蔵を含む長期的対応を検討する方針である旨、県および立地市町等に報告した。
 平成10年7月7日、県および立地市町は、美浜発電所に先立ち事前了解願いが提出されていた敦賀発電所および大飯発電所の使用済燃料貯蔵能力変更計画について、安全審査の結果、中間貯蔵施設に係る検討結果や具体的な建設計画等を確認した上で、県議会での議論や立地市町の意見等を踏まえ了解した。
 平成11年4月30日、県および立地町は、事前了解願いが提出されていた美浜発電所の使用済燃料貯蔵能力変更計画について、安全審査の結果、中間貯蔵施設に係る状況等を確認した上で、県議会での議論や立地町の意見等を踏まえ了解した。

2.

美浜発電所の安全審査結果
 平成10年2月3日、関西電力は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、通商産業省に対し美浜発電所原子炉設置変更許可申請を行った。
 通商産業省と原子力安全委員会は、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」等に基づき、それぞれ独自に安全性の確認を行い、原子炉施設変更後においても原子炉施設の安全性は確保されており、今回の変更は妥当なものであると判断した。
 県としては、その内容について確認を行い、今回の原子炉施設の変更は、安全上、問題ないものと判断した。

3.

中間貯蔵施設に係る状況
(1) 国の取組み
 三県知事提言や閣議了解以降、平成9年3月に、国と事業者からなる『使用済燃料貯蔵対策検討会』が設置され検討が行われた。その結果を受けて、平成10年3月から総合エネルギー調査会原子力部会で審議され、同年6月11日に報告書が公表された。
 この報告書では、2010年までの使用済燃料中間貯蔵施設の確実な実現に向けて、国が今後早急に取り組むべき制度整備、電気事業者が着実に進めるべき立地対策等が明確に示された。
 その後、国においては、平成11年2月5日に使用済燃料の貯蔵事業を盛り込んだ原子炉等規制法の改正案を閣議決定し国会に上程するなど、具体的な取り組みが行われている。
(2) 事業者の取組み
 事業者においては、使用済燃料貯蔵対策検討会や原子力部会に積極的に参加した他、社内検討に加え、平成10年3月に電気事業連合会に「リサイクル燃料資源貯蔵施設設置推進検討会」を設置し、電力共通の課題として取り組んでいる。
 現在、立地地点の確保に向けて、適地を抽出し、土地確保の見通しや法規制等の観点から、候補地点の検討を行っているところであり、2010年までに確実に使用済燃料中間貯蔵施設を操業開始できるよう、2000年度末頃には計画地点を確定し、2001年頃に事業主体を設立し、2006年頃から建設を開始する計画である。
 使用済燃料中間貯蔵施設の実現に向けた事業者の取組みについては、平成10年6月に事業者の責任ある取組み方針を文書等により確認した。

添付資料
県内原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の概要
県内原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の経緯
美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の概要
美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画に係る安全審査結果
美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画に係る主要経緯



(添付1)

県内原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の概要
発電所 号機 計画 貯蔵能力(体数) 共用化
変更前 変更後
敦賀発電所 1号機
2号機内にある1・2号機用ピットの使用済燃料ラック取替(リラッキング)
790 1217
2号機 987 1734
美浜発電所 1号機 288
2号機 555
3号機
リラッキング
1・2号機との共用化
424 1118 1・2号機と共用
大飯発電所 1/2号機 704
3号機
Bピット整備
1・2号機との共用化
974 2129 1・2号機と共用
4号機
Bピット整備
1・2号機との共用化
974 2129 1・2号機と共用
高浜発電所 1号機 424
2号機 424
3号機
1・2号機との共用化
1188 1・2号機と共用
4号機
1・2号機との共用化
1188 1・2号機と共用
(注) 敦賀発電所 ・・・ 工事実施中(平成10年8月工事開始、平成12年5月頃工事完了予定)
大飯発電所 ・・・ 国へ工事計画認可申請中(3号機は平成11年8月頃工事開始、平成13年2月頃工事完了予定、4号機は平成11年12月頃工事開始、平成13年7月頃工事完了予定)
美浜発電所 ・・・ 国へ工事計画認可申請予定(平成11年10月頃工事開始、平成14年3月頃工事完了予定)
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(添付2)

県内原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の経緯
発電所 事前了解願い提出 申請了承 原子炉設置変更許可 事前了解
申請 許可
敦賀発電所 H9.6.16 H9.7.31 H9.8.1 H10.6.8 H10.7.7
美浜発電所 H9.11.25 H10.2.3 H10.2.3 H10.11.10 H11.4.30
大飯発電所 H9.6.16 H9.7.31 H9.8.1 H10.5.28 H10.7.7
高浜発電所 H10.5.11 H10.12.16
(注) 高浜発電所の使用済燃料ピット共用化はプルサーマル計画と同時申請。
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(添付3)

美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画の概要

1. 変更理由
 美浜発電所においては、使用済燃料ピットの貯蔵容量が小さいため、平成12年(2000年)頃から貯蔵余裕の厳しい状況が続くことが予想される。
 このため、美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力を増強し、使用済燃料管理に万全を期す。

2.

構造および設備
 美浜発電所3号機の原子炉補助建屋内にある使用済燃料ピットの使用済燃料ラックを、ボロン添加したステンレス鋼を使用し、稠密化を図った新ラックに取り替える。
 これにより、美浜3号機の使用済燃料貯蔵能力は、全炉心燃料の約270%相当分(424体)から約710%相当分(1118体)となる。
 さらに、美浜発電所3号機の核燃料物質取扱設備の一部と使用済燃料ラック取替後の美浜発電所3号機使用済燃料貯蔵設備を1号機および2号機と共用化する。

3.

工事計画
 平成11年10月頃〜平成14年3月頃
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第1図 美浜発電所構内配置図
第2図 美浜発電所3号炉使用済核燃料貯蔵設備の配置図
第3図 美浜発電所3号炉使用済核燃料ピットのラック概念図(変更後)



(添付4)

美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画に係る安全審査結果

1. 原子炉施設の共用
 3号機原子炉補助建屋内の燃料取扱設備の一部、使用済燃料ピット冷却装置および使用済燃料貯蔵設備が1号機および2号機と共用されるが、共用によって原子炉の安全性を損なうことはない。

2.

貯蔵能力
 3号機の使用済燃料貯蔵設備は通常運転中、炉心の全燃料を貯蔵することができる容量が確保される。

3.

除熱能力
 過去に取り出された使用済燃料と1号機および2号機の使用済燃料が使用済燃料ピットに貯蔵されている時に、燃料取替で原子炉から全炉心を取り出した場合に、使用済燃料ピット冷却装置により使用済燃料ピット水平均温度が52℃を超えないように設計され、また、使用済燃料ピットポンプ1台運転でも65℃以下に保たれる。

4.

臨界防止
 使用済燃料ラックに中性子吸収材であるほう素を添加したステンレス鋼を使用し、燃料集合体の間隔を適切にとることにより確保することとしており、設備容量分の新燃料を貯蔵する等の厳しい条件を想定しても、解析上の不確定さを含む実効増倍率は0.98以下に保たれる。
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(添付5)

美浜発電所3号機の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力変更計画に係る主要経緯

平成 9年 11月 25日 ・・・ 関西電力株式会社は、県および美浜町に安全協定に基づく「事前了解願い」を提出。
平成 10年 1月 12日 ・・・ 関西電力株式会社は、原子力環境安全管理協議会で「事前了解願い」について説明
2月 3日 ・・・ 県および美浜町は、国への手続きについて了承。
関西電力株式会社は、通商産業省に原子炉設置変更許可を申請。
4月 17日 ・・・ 美浜発電所原子炉設置変更許可申請書本文および添付書類を一部補正
5月 21日 ・・・ 通商産業大臣から原子力委員会および原子力安全委員会に対して諮問
6月 22日 ・・・ 関西電力株式会社は、県に対し「使用済燃料貯蔵に関する長期的対応について」提出
6月 26日 ・・・ 通商産業省は、原子力部会報告書について県議会へ説明
6月 30日 ・・・ 通商産業省は、原子力環境安全管理協議会で、原子力部会報告書について説明
9月 28日 ・・・ 原子力安全委員会より通商産業大臣に対して答申
9月 29日 ・・・ 原子力委員会より通商産業大臣に対して答申
11月 10日 ・・・ 通商産業省は関西電力株式会社に対し、美浜発電所原子炉設置変更許可
平成 11年 4月 30日 ・・・ 県および美浜町は関西電力に対し事前了解
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