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敦賀発電所1号機のシュラウド取替工事計画の事前了解願いについて(11−26) |
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本日、日本原子力発電株式会社から、敦賀発電所1号機のシュラウド取替工事計画について、原子力発電所周辺環境の安全確保等に関する協定書に基づき、事前了解願いが提出された。
県としては、シュラウド取替工事計画については、今後の運転における設備の予防保全策として実施するものであると考えているが、今後、工事の内容・方法および作業員の被ばく管理等の安全性を確認するとともに、県議会での議論や敦賀市の意見も踏まえ、適切に対処していく。
〈事前了解願いの概要〉
1. |
日本原子力発電株式会社 敦賀発電所 |
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・ |
シュラウド取替工事計画 |
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シュラウドの一層の信頼性向上の観点から、設備の予防保全策として、これを耐応力腐食割れに優れた材料を使用したものに取り替える。 |
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※ |
シュラウドとは、原子炉圧力容器内において、原子炉冷却水の流路を形成するため、炉心の外周部に設置された円筒形の構造物である。
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(別紙)
(1) |
発電所名 |
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敦賀発電所(1号機) |
(2) |
施設名 |
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シュラウド |
(3) |
取替理由 |
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敦賀発電所1号機のシュラウドは、海外や国内での応力腐食割れ(SCC)事象に鑑み、定期的な検査により健全性を確認するとともに、炉水への水素注入により腐食環境の緩和を実施するなど、これまでも予防保全に努めてきている。
今回、シュラウドの一層の信頼性向上の観点から、耐SCC性に優れた材料(SUS316L等)を使用したものに取替える。 |
(4) |
設置場所 |
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(5) |
構造及び設備 |
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シュラウドは原子炉圧力容器内において、原子炉冷却水の流路を形成するため、炉心の外周部に設置された円筒形の構造物である。
なお、取替えに際し材料はSUS316L等を使用するが基本的な構造や主要寸法に変更はない。 |
(6) |
取替工事期間 |
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平成11年9月中旬〜平成12年5月中旬(第26回定期検査時) |
(7) |
工事概要 |
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本工事はSCCに対する予防保全を目的として、シュラウド等を耐SCC性に優れた材料(SUS316L等)を使用したものに取替えるものである。
取替範囲は、国内外の損傷事例等を考慮してシュラウドを取替えるとともに、シュラウド取替の工法上取外しが必要となるトップガイド、炉心サポート等とする。
工事期間は約240日を予定しており、主な手順は次の通りである。
・ |
原子炉圧力容器内の化学除染を実施する。 |
・ |
既設シュラウド等は、シュラウドサポート部で既設構造物から切り離し撤去する。撤去した既設シュラウド等は、保管容積を少なくするため更に切断する。 |
・ |
新シュラウドの据付作業は、シュラウド等を炉内に吊降ろし、シュラウドサポート部で既設構造物と溶接にて接続する。 |
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(8) |
線量当量低減対策 |
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本工事では、化学除染、水中での遠隔作業及び炉壁遮へい板を設置する等の線量当量低減対策を実施し、計画総線量当量を6人Svとする。 |
(9) |
放射性廃棄物 |
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取替えに伴い発生する放射性固体廃棄物のうち、放射能の高いシュラウド、トップガイド、炉心サポート等約39トンは保管容積を少なくするため水中で更に切断し収納箱に入れ、1号機サイトバンカプール(水中)に保管する。
また、放射能の低いフローバッフル等約7トンは気中で更に切断し、鉄箱に収納し、固体廃棄物貯蔵庫に保管する。 |
(10) |
添付資料 |
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(添付資料−1)
1. |
取替範囲 |
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本工事にて取替える炉内機器は以下の通りであり、取替範囲を図1−1に示す。
(1) |
SCCに対する予防保全の観点から取替える機器。 |
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a. |
シュラウド
(フローバッフル及びシュラウドサポートリングを含む) |
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(2) |
工法上取外しが必要となるために取替える機器。 |
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a. |
トップガイド |
b. |
炉心サポート |
c. |
ガイドロッド |
d. |
炉心スプレイ配管 |
e. |
炉内計測案内管 |
f. |
炉内計測案内管スタビライザ |
g. |
差圧検出系&毒物(ほう酸水)注入系配管 |
h. |
シュラウドサポート(ステンレス部) |
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2. |
取替機器の材料、構造 |
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(1) |
材料 |
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取替機器の材料は、耐SCC性に優れた以下の材料を使用する。
a. |
板材 |
: |
SUS316L
SUS316(C:0.02%以下)
NCF600 |
b. |
棒材 |
: |
SUS316L |
c. |
管材 |
: |
SUS316LTP |
d. |
鍛造品 |
: |
SUSF316L |
e. |
鋳造品 |
: |
SUS19A |
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(2) |
主要機器の構造・寸法 |
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表1−1に主要機器の主要寸法及び材料を示す。
なお、各機器の構造・主要寸法については、基本的に既設品と同一である。 |
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No |
機器名 |
項目 |
仕様 |
既設品仕様(参考) |
1 |
シュラウド |
種類 |
円筒形 |
同左 |
主要寸法 |
胴高さ |
約6.7m |
同左 |
胴最大内径 |
約3.7m |
同左 |
胴板厚 |
約4cm |
同左 |
材料 |
胴 |
SUS316L |
SUS27HP |
下部リング |
NCF600 |
− |
個数 |
1 |
同左 |
2 |
トップガイド |
種類 |
格子形 |
同左 |
主要寸法 |
外径 |
約3.6m |
同左 |
高さ |
約0.4m |
同左 |
材料 |
リム胴 |
SUS316L |
SUS27HP |
グリッドプレート |
SUS316L |
SUS27CP |
個数 |
1 |
同左 |
3 |
炉心サポート |
種類 |
円板形 |
同左 |
主要寸法 |
外径 |
約3.4m |
同左 |
高さ |
約0.5m |
同左 |
材料 |
リム胴 |
SUS316L |
SUS27HP |
支持板 |
SUS316L |
SUS27HP |
補強ビーム |
SUS316 |
SUS27HP |
個数 |
1 |
同左 |
4 |
シュラウドサポート |
種類 |
円錐形 |
同左 |
主要寸法 |
リング外径 |
約3.6m |
約3.6m |
高さ |
約3.0m
炉心底部(ベッセル0)からの高さ |
同左 |
材料 |
リング |
NCF600 |
SUS27 |
シュラウドサポート上部 |
NCF600 |
SUS32 |
個数 |
1 |
同左 |
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元の位置へ▲ |
(添付資料−2)
シュラウド取替工事の主な手順は次の通りである。
・ |
原子炉圧力容器内の化学除染を実施する。 |
・ |
水中で既設シュラウドを上下2分割に切断し、上部シュラウド等を撤去した後、シュラウドサポートリング上部を切断し下部シュラウドを撤去する。 |
・ |
撤去した既設シュラウド等は原子炉隣のピット(ドライヤセパレータピット)に移動し、保管容積を少なくするため水中で更に切断する。 |
・ |
新シュラウド等の据付け等は気中で行うため、炉壁に遮へい板を設置し放射線を遮へいする。 |
・ |
気中において既設フローバッフル等をシュラウドサポート部で既設構造物から切り離し撤去する。 |
・ |
新シュラウドの据付作業は、まず新フローバッフル等を炉内に吊降ろし、シュラウドサポート部で既設構造物と溶接にて接続する。 |
・ |
新シュラウドは上下2分割で原子炉建屋内に搬入し、予め溶接により一体構造物に組立てた後、炉内に吊降ろしシュラウドサポートリングに溶接にて接続する。 |
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元の位置へ▲ |
(添付資料−3)
シュラウドは原子炉圧力容器内において、原子炉冷却水の流路を形成するため、外周部に設置された円筒形の構造物である。
取替えに際し基本的な構造や主要寸法に変更はないことから、原子炉冷却水の流路等は変わらないため原子炉の安全設計に変更はなく、原子炉の安全に影響を与えるものではない。
また、その他、炉心サポート、トップガイド、炉心スプレイ配管、毒物(ほう酸水)注入系配管等の取替機器についても基本的な構造や主要寸法に変更はないことから、燃料集合体の支持機能、制御棒の挿入機能、炉心スプレイ・毒物(ほう酸水)注入系の注入機能等は変わらないため原子炉の安全設計に変更はなく、原子炉の安全に影響を与えるものではない。
(添付資料−4)
1. |
放射性廃棄物 |
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シュラウド取替工事で発生する炉内構造物の放射性固体廃棄物は、約46トンと推定される。
この内、炉心中心部で中性子照射により放射化され放射能が高いシュラウド、トップガイド、炉心サポート等約39トンは保管容積を少なくするため水中(ドライヤセパレータピット)で更に切断し収納箱に入れる。
収納箱のままでは線量当量率が高く輸送基準(表面2mSv/h以下)を超えるため、遮へいを考慮した輸送容器に収納箱を入れ構内輸送し、1号機サイトバンカプール(水中)で保管する。これらの固体廃棄物は水中で保管するため、プール水の遮へい効果により、雰囲気線量当量率の上昇は極めて低い。
一方、炉心から離れており放射化の程度が低く放射能の低いフローバッフル等約7トンは更に気中で切断し、鉄箱に収納して、固体廃棄物貯蔵庫で保管する。これら固体廃棄物の扱いは、固体廃棄物貯蔵庫で従来保管している固体廃棄物と同様である。
以上のことから、シュラウド取替工事による周辺環境への影響はない。
表4−1に主な廃棄物の発生量・保管場所を、図4−1に放射性固体廃棄物の保管場所の位置を示す。
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主な機器 |
発生量
(箱の容積) |
保管場所 |
シュラウド |
約39トン
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サイトバンカプール |
トップガイド |
炉心サポート |
フローバッフル |
約7トン
|
固体廃棄物貯蔵庫 |
シュラウドサポート |
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元の場所へ▲ |
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2. |
仮設建物における仮置きについて |
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(1) |
使用済燃料プールプラグ、ドライヤセパレータピットプラグの仮置き |
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本工事期間中に原子炉建屋5階の作業場所を確保するために、使用済燃料プールプラグ及びドライヤセパレータピットプラグを、1号機新廃棄物処理建屋横(管理区域)の仮設建物に仮置きする。 |
(2) |
炉壁遮へい板の仮置き |
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本工事にて炉壁に設置した遮へい板は、2号機原子炉補助建屋横の仮設建物(管理区域に設定)に仮置きし、汚染のないことを確認した後、発電所構外に搬出する。 |
なお、(1)(2)項の仮置きによる周辺環境への影響はない。 |
(添付資料−5)
本工事では、化学除染、水中での遠隔作業及び炉壁遮へい板を設置する等の線量当量低減対策を実施することにより、水抜き後の炉内中心部の目標線量当量率を0.7mSv/h以下とし、計画総線量当量は6人Svとしている。
なお、個人の計画線量当量は工事期間を通じて最大で25mSv、1日あたり最大で3mSvに設定し管理する。
(添付資料−6)