[記者発表][平成11年度6月]−[11日14時45分記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所3号機の原子炉起動と調整運転開始について(第17回定期検査)(11−34)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 なお、5月26日に発生した主蒸気管系統の油圧防振器損傷に関して、県は去る6月3日、関西電力に対し、通報連絡と安全確保の徹底について改善するよう要請したところであるが、このことについて、本日、改善策の報告があった。
 今後、県としては、報告のあった改善事項が確実に実施されること、県民の信頼回復を図るため、原子力発電所の安全確保に一層積極的に取り組むよう要請した。

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、平成11年4月21日から、第17回定期検査を実施していたが、平成11年6月13日に原子炉を起動し、同日に臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、6月中旬(6月14日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、7月上旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台あるポンプのうち、Aポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検した。
(2) 余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事(図−2参照)
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため工学的安全注入系の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能なように、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置し た。
*1; アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故 (シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2; 工学的安全注入系の再循環注入モード
 1次冷却材喪失事故時、工学的安全注入系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水タンク水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
(3) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−3参照)
 海外における原子炉冷却系統設備の損傷事例に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材料等を変更した新しい配管に取り替えた。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
 蒸気発生器伝熱管全数(10,146本)について、渦流探傷検査を実施した結果、異常は認められなかった。

3.

燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数157体のうち、48体(全て高燃焼度の新燃料集合体)を取り替えた。

4.

A−主蒸気管系統の油圧防振器損傷について(図−4参照)[6月3日記者発表済]
 平成11年5月26日10時20分頃、原子炉冷却系統耐圧漏えい試験後の主蒸気管および蒸気発生器内の水抜き作業中、主蒸気管に水撃作用が発生し、A−主蒸気管系統の油圧防振器9本の連結用ネジ部が折損するとともに、配管振れまわり防止用支持構造物2箇所の緩衝材の一部に変形が認められた。
 調査した結果、原因は、水抜き開始後行うべき窒素注入操作が、指示・連絡・確認の不備により実施されていなかったためと判明した。
 対策として、損傷の認められた油圧防振器および変形の認められた緩衝材は新品と取り替えるとともに、原子炉起動前の機能確認試験の中で異常のないことを確認した。
 また、運転操作にあたっての指示、確認という基本動作を再徹底するとともに、水抜き時の具体的な操作手順や注意事項を手順書に明記するなど充実を図った。

5.

次回定期検査の予定
 平成12年 夏頃