[記者発表][平成11年度6月]−[11日14時45分記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所2号機の原子炉起動と発電再開について(余剰抽出水系統配管の漏えいに伴う停止)(11−35)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力50.0万kW)は、復水器内の海水漏えいに伴う点検・補修のため電気出力約65%で運転中の4月30日、Bループの1次冷却材ポンプ入口配管の余剰抽出水系統取出配管部付近でわずかな水漏れが確認されたことから、点検調査のため、同日18時45分に発電を停止した。この事象による環境への放射能の影響はなかった。
 その後、復水器伝熱管の点検・補修を行うとともに、余剰抽出水系統配管からの漏えい原因調査およびそれに基づく対策工事を実施してきたが、それらが完了し原子炉起動準備が整ったことから、明日6月12日早朝に原子炉起動、臨界とした後、同日夕方に発電を再開する予定である。

1. 美浜発電所2号機の余剰抽出水系統配管の漏えい(図−1参照)[平成11年4月30日、5月7日、25日記者発表済]
 調査の結果、余剰抽出水系統取出配管の曲げ管部背側中央部付近に外面長さ約7mmの貫通割れが確認され、割れは内面からの疲労割れによるものと判明した。
 割れの原因は、配管の高温部と低温部の境界面が曲げ部に位置し、その境界面が周期的に上下に変動したため、内面で熱応力が繰り返し作用したこと、当該部は製作時の残留応力が高い箇所であったことから、熱疲労による割れが内面に発生し貫通したものと推定された。
 対策として、温度境界面の変動が配管曲げ部に影響しないよう、1次冷却材配管取付部から曲げ部までの長さを変更するとともに、残留応力の低い曲げ管に取り替えた。
 なお念のため、原子炉起動準備状態で当該曲げ部付近の温度測定を行い、温度境界面の位置が配管水平部に位置していることを確認した。

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−

2.

美浜発電所2号機の復水器伝熱管の漏えい(図−2参照)[平成11年4月29日、5月7日記者発表済]
 復水器内での海水漏えいを示す警報が発信した2B復水器について、検査した結果、漏えい管1本が認められ、ファイバースコープにより管内面に長さ1mm程度の貫通孔が確認された。また、1Bおよび2B復水器伝熱管全数の渦流探傷検査を実施した結果、当該漏えい管1本のほか、伝熱管93本の信号指示値が施栓基準に達していた。
 漏えいの原因は、伝熱管内面に貝類等が付着し、伝熱管内を流れる海水の流速が局所的に変化し、内面からの減肉が発生し貫通したものと推定された。
 対策としては、1Bおよび2B復水器で、漏えい管を含めむ伝熱管94本を施栓した。

 今回の停止期間を利用して、1Aおよび2A復水器の伝熱管全数についても、念のため渦流探傷検査を実施した結果、伝熱管10本について信号指示値が施栓基準に達していたことから施栓した。

  検査対象の伝熱管本数 今回施栓した本数
1A復水器 10,881本 9本
1B復水器 10,976本 23本
2A復水器 10,947本 1本
2B復水器 10,929本 71本
(漏えい管1本含む)

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
評価対象外 評価対象外