(1) |
制御棒の制御能力低下 |
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MOX燃料はウラン燃料に比べ熱中性子を吸収しやすいことから、制御棒に吸収される熱中性子の割合が減り制御能力が低下する。 |
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MOX燃料を装荷した炉心の制御棒の制御能力は、ウラン燃料を装荷した炉心に比べ若干低下するが、十分に余裕を持って原子炉を停止もしくは制御することが可能である。 |
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(2) |
ほう素価値の低下 |
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MOX燃料はウラン燃料に比べ熱中性子を吸収しやすいことから、ほう素に吸収される熱中性子の割合が減り、ほう素による制御能力が低下する。 |
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MOX燃料を装荷した炉心のほう素価値(中性子吸収能力)は、ウラン燃料炉心に比べ低下するが、その濃度を高めることにより十分に余裕を持って原子炉を停止できる。 |
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(3) |
燃料棒の発熱分布 |
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MOX燃料はウラン燃料に比べ熱中性子と反応しやすいことから、集合体外周部の燃料棒の出力が高くなる。 |
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MOX燃料集合体内の燃料棒にプルトニウム富化度分布を持たせることにより、出力分布の平坦化を図る設計としている。 |
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(4) |
融点の低下 |
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MOX燃料の融点は、プルトニウムの含有量の増加に応じて低下する。 |
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MOX燃料の融点は、ウラン燃料に比べ数十度程度低下するが、燃料の中心温度は融点に対して十分余裕がある。 |
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(5) |
燃料棒内圧の上昇 |
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MOX燃料では、核分裂に伴い生成するガス状物質がペレットから放出される割合が若干高くなる。 |
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MOX燃料棒に初期に封入するガスの圧力を下げることにより、燃焼に伴う燃料棒内圧力の上昇を緩和する設計としている。 |
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(6) |
新燃料の放射線量の上昇 |
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MOX新燃料はウラン新燃料に比べ、放射線量が高い。 |
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MOX新燃料の取扱いにあたっては、MOX新燃料取扱装置等を使用し、放射線防護を図る。また、MOX新燃料は使用済燃料プールに保管され、十分な遮へいが行われる。 |
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(7) |
使用済燃料の発熱量の増加 |
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使用済MOX燃料は長半減期のアクチニドを多く含むことから、長期的に見た場合、使用済ウラン燃料に比べ崩壊熱が大きくなる。 |
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使用済MOX燃料を使用済燃料ピットに保管しても、使用済燃料ピットの冷却能力は十分である。なお、使用済燃料ピット冷却器を1台増設する。 |
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(8) |
周辺環境への放射線影響 |
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MOX燃料はウラン燃料に比べ、核分裂に伴い生成される物質の比率が異なる。 |
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生成される物質の比率の差を考慮しても、現行の平常運転時および事故時の周辺環境への影響評価手法は安全側であり、MOX燃料が導入されても周辺環境の安全は十分確保されている。 |
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