[記者発表][平成11年度7月]−[2日11時資料配付] 原子力安全対策課
高浜発電所4号機の原子炉起動と調整運転開始について(第11回定期検査)(11−46)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉;定格出力87.0万kW)は、平成11年4月22日から、第11回定期検査を実施していたが、7月3日に原子炉を起動し、翌4日に臨界となる予定である。
 今後は諸試験を実施し、7月上旬(7月6日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、7月下旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台あるポンプのうち、Aポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検を行い、異常のないことを確認した。
(2) 余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事(図−2参照)
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため工学的安全注入系の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能なように、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置した。
*1; アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2; 工学的安全注入系の再循環注入モード
 1次冷却材喪失事故時、工学的安全注入系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水タンク水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
(3) 発電機負荷開閉装置設置工事(図−3参照)
 所内電源の信頼性向上対策として、発電機と主変圧器の間に、発電機負荷開閉装置を設置した。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果(図−4参照)
 蒸気発生器伝熱管全数(10,115本)について、渦流探傷検査を実施した結果、C−蒸気発生器の伝熱管4本(高温側の管板拡管部)に欠陥の可能性を示す有意な信号指示が認められた。
 このため、1本の伝熱管について、抜管調査を行った結果、原因は、製作時に管板部で伝熱管を拡管する際発生した局所的な残留応力と、運転中の内圧による作用応力が重畳し、1次側からの応力腐食割れが発生したものと推定された。
 対策として、当該伝熱管4本を施栓した。[5月27日、6月10日 記者発表済]

3.

燃料集合体の検査結果等
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数157体のうち56体(うち52体が新燃料集合体で全て高燃焼度燃料集合体)を取り替えた。

4.

次回定期検査の予定
 平成12年夏頃