[記者発表][平成11年度7月]−[5日16時30分資料配布] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の重水精製装置エリアトリチウムモニタ等の上昇について(状況と今後の予定について)(11−49)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW、本年1月8日から第15回定期検査中)では、7月2日、重水精製装置(運転中)の循環液フィルタ付近で重水が漏れているのを確認したため、15時15分に同装置の運転を停止するとともに、15時29分、重水精製装置Uの換気系を停止した。15時45分には循環液フィルタの前後にある弁を閉止し、16時45分、漏えいの停止を確認した。
 この漏えいにより、重水精製装置のエリアトリチウムモニタの指示値が、15時25分頃から上昇し始め、15時33分に「モニタ高」警報が、15時44分には「モニタ高高」警報が発信したが、17時25分以降指示値は徐々に低下している。
 また、重水精製装置建屋スタック(排気筒)トリチウムモニタも、同時刻から指示値が上昇し、19時35分に高警報が発信しているが、15時29分の重水精製装置の換気系停止、15時34分の重水精製装置の換気系全停止により、それ以降、重水精製建屋から外部への換気放出はなく、排気筒内にある滞留空気を測定しているものである。
 なお、本事象による環境への放射能の影響はない。[7月2日記者発表済]

 現在も、エリアモニタの指示値は、通常値(約3〜5×10-3 Bq/cm3)より高いことから、原因調査については、指示値が低下してから行うこととしている。

 なお、これまでの状況については以下の通りである。

1. トリチウムモニタの状況
 重水精製装置エリアモニタ、重水精製装置建屋スタックモニタの指示値は、いずれも徐々に下降している。なお、スタックモニタについては、警報は解除されている。
  重水精製装置エリアモニタ 重水精製装置建屋スタックモニタ
高警報設定値 3.7×10-2Bq/cm3 3.7×10-2Bq/cm3
高高警報設定値 1.1×10-1Bq/cm3 1.1×10-1Bq/cm3
最高値 3.98×100Bq/cm3
(7月2日17時25分)
9.64×10-2Bq/cm3
(7月2日23時40分)
7月5日
16:00現在
4.10×10-2Bq/cm3 1.30×10-2Bq/cm3

2.

外部へのトリチウム放出量
 重水精製装置建屋スタック(排気筒)からのトリチウムの外部放出については、スタックトリチウムモニタの指示値が上昇し始めた15時25分頃から、換気系を全停止した15時34分までであり、その放出量は約3.4×107ベクレルと評価されている。
 この放出量は平成9年4月14日の重水漏えい時の100分の1未満、平成9年11月5日の重水漏えい時の10分の1未満とごく微量であった。なお、福井県原子力環境監視センターおよびサイクル機構で重水精製装置建屋外の除湿水等を採取し、トリチウムを測定した結果、その濃度はいづれも検出限界以下であることを確認した。

3.

重水精製装置の系統状態
 重水精製装置および換気設備は停止しており、循環液フィルタについては、前後弁を閉めて隔離している。なお、室内のトリチウム濃度を下げるために、トリチウム除去装置を運転するとともに、建屋内に除湿機を設置している。

4.

作業状況
漏れた重水については、ポリ容器に回収した(回収量約35リットル)。
漏えいした循環液フィルタ付近は保温材に覆われているため、それを取り外し、ビニールで養生している。(作業はいづれも7月2日に完了している)
作業員の被ばく線量当量
 重水が漏えいした時に、建屋に入域していた作業員20名の内部被ばく線量は記録レベル(2mSv)以下であり、外部被ばく線量当量についても0mSvであった。
 また、漏えい確認後の応急措置および重水回収作業に従事した21名についても、内部被ばく線量当量は記録レベル以下であり、外部被ばく線量当量についても、全員0mSvであった。


新型転換炉ふげん発電所建屋配置図