[記者発表][平成11年度7月]−[30日14時30分記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の重水精製装置エリアトリチウムモニタ等の上昇について(原因と対策について)(11−70)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。


 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW、平成11年1月8日から第15回定期検査中)は、7月2日、重水精製装置の運転中、循環液フィルタ付近からの重水漏れを確認したため、直ちに同装置および換気系の運転を停止するとともに、循環液フィルタ前後の弁を閉止し、漏えいを停止した。
 この漏えいに伴い、重水精製装置のエリアトリチウムモニタの指示値が上昇し、「モニタ高」「モニタ高高」警報が発信したが、その後、指示値は徐々に低下した。また、漏えいした重水は回収(約35リットル)した。
 本事象に伴う環境への放射能の影響はない。
 7月26日から循環液フィルタ廻りを点検した結果、本体フランジに2枚あるガスケットのうち、蓋側フランジのガスケットが正規の位置(凹位置)から外周側にずれた状態で装着されており、その一部がフランジ面から外にはみ出しているのが確認された。[平成11年7月2日、7月5日、7月27日 発表済]

1. 原因の推定
 蓋フランジのガスケットが正規の位置に装着されていなかった原因は、以下のとおり推定される。
本年4月循環液フィルタを交換した際、上部蓋フランジ面の凹(溝)部にガスケットを取り付けた状態で、蓋を反転させ、フィルタ取付板がセットされた下部フランジと結合させようとした際、ガスケットが溝から脱落し、本来セットされるべき位置から外周にずれたまま装着されたものと推定された。
その後、7月2日からの循環ポンプ起動により、フランジ内部に圧力がかかり、ガスケットの一部がフランジ部から外にはみ出したことから、その部分から重水が漏えいしたものと推定された。

2.

対策
(1) 循環液フィルタのガスケット部からの漏れを防止するため、構造を以下のように変更することとした。
フィルタ取付板をフランジ部で固定する方式からフランジ本体内に取り付ける方式とする。
フランジ本体は、下部フランジにOリングを装着し、漏れを防止する方式とする。
(2) また、今後の分解組立にあたっては、作業者およびサイクル機構担当者により、フランジ面組立後の外観点検を確実に実施することとする。

図1 循環液フィルタ点検時の状況
図2 循環液フィルタの変更概要図