[記者発表][平成11年度7月]−[30日14時30分記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の原子炉起動と調整運転開始について(第15回定期検査)(11−71)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉原型炉;定格出力16.5万kW)は、本年1月8日から第15回定期検査を実施していたが、8月1日早朝に原子炉を起動し臨界とした後、翌2日正午頃に定期検査の最終段階である調整運転を開始する予定である。
 調整運転開始後は、出力を徐々に上げながらプラント性能の確認を行い、8月下旬には国の最終検査を受けて本格運転を再開する予定である。

1. 燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 燃料集合体全数224体のうち36体を新燃料集合体(うち混合酸化物燃料は22体)に取り替えた。

2.

主要工事等
(1) 放射性廃棄物固化装置の変更工事(図−1参照)
 放射性廃棄物固化装置(アスファルト固化装置)の固形化供給タンクについて、ステンレス鋼から内面ゴムライニングを施した炭素鋼製に取り替えた。
(2) 排気筒トリチウムモニタの変更工事(図−2参照)
 信頼性向上と予防保全の観点から、主排気筒のトリチウムモニタを更新し、併せて、2チャンネルにして多重化を図った。
(3) 蒸気タービン低圧車室補修工事
 蒸気ドレンによる浸食(エロージョン)に対する設備保全の観点から、蒸気タービンの低圧内部車室の一部について、耐浸食性に優れたステンレス鋼にて肉盛補修を実施した。
(4) 原子炉再循環ポンプ供用期間中検査 (図−3参照)
 原子炉再循環ポンプの供用期間中検査として、4台あるポンプのうち、B、Dの2台のポンプ(B系統)について、ケーシングボルトの締め付け部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検を行った。
 なお、B再循環ポンプについては、4月7日、分解点検後の試運転において不具合が生じたことから、再度分解点検し、組立作業時の管理等の見直しをした上で再度組立を行ない、6月9日の試運転時に健全性を確認した。<4月7日、5月31日発表済>
(5) B系原子炉冷却系統の化学除染 (図−4参照)
 今回の定期検査で実施した原子炉再循環ポンプの検査等における作業員の被ばく低減を図るため、B系原子炉冷却系統について全ての圧力管から燃料集合体を取り出した後、除染材を注入し、機器や配管内表面に付着したコバルト60等の放射性不純物を溶解・除去した。
(6) 亜鉛イオンの本格注入
 平成10年度計画停止時(平成10年6月5日〜7月3日)に亜鉛注入装置を設置し、原子炉冷却系統の放射線量の抑制のため亜鉛イオンの試験注入を行っていたが、今回の原子炉起動後に本格連続注入を開始する。
亜鉛注入
 原子炉冷却材中に放射化しない亜鉛イオンを注入し、燃料体表面および機器・配管内表面に強固な酸化亜鉛皮膜を形成させ、コバルト60等の放射性不純物がこれらの表面から原子炉冷却材中へ溶出しにくくする。また、これらの放射性不純物が機器・配管内表面に再付着することを抑制することで、原子炉冷却系の放射線量を抑制する。
(7) 蓄積放射能量の調査(図−5参照)
 「ふげん」の廃止措置の準備として、構造物に含まれる放射能量を評価するため、平成10年度計画停止時に原子炉廻りに設置した放射化箔(中性子照射により放射化する金属箔)の一部回収と、新規設置を行なった。
 また、原子炉格納容器内および原子炉補助建屋のコンクリート壁や床のサンプリング調査を平成10年度計画停止時に引き続き実施した。

3.

次回定期検査等の予定
平成11年度計画停止 平成12年1月
次回定期検査 平成12年夏頃