[記者発表][平成11年度8月]−[19日13時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1号機の第26回定期検査開始について(11−83)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、8月20日から約9カ月の予定で第26回定期検査を実施する。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 蒸気タ−ビン
(9) 付帯設備

1. 主要工事等
(1) シュラウド取替工事(図−1
 応力腐食割れ(SCC)発生の予防保全対策として、シュラウド等をSUS304相当品から、耐SCC性に優れたSUS316L等に取替える。
(2) 炉内計装用保護筒のSCC予防保全工事(図−2
 SCC発生の予防保全対策として、炉内計装用保護筒29本全数について、保護筒内面にTIGクラッディング(耐食性に優れた金属を溶着させる工法)を実施する。
(3) 原子炉再循環配管内の流量検出用フローエレメントの取替工事(図−3
 原子炉再循環流量を検出している流量検出用フローエレメント(ノズルタイプ)について、定期検査時の被ばく低減のため、放射化物質が付着しにくい形状(円錐ベンチュリータイプ)に取替える。
(4) 給水加熱器取替工事(図−4
 第1〜第3給水加熱器について、信頼性の向上及び保守性向上を図るため取替えを行なう。その際、管支持板については、耐食性に優れた材質のものに変更する。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数308体のうち、64体(全て新燃料集合体で高燃焼度燃料)を取替える予定である。

3.

運転再開予定
原子炉起動・臨界 平成12年4月中旬
発電再開(調整運転開始) 平成12年4月中旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成12年5月中旬

4.

その他
 国が電気事業法に基づき実施している定期検査の内容については、原子炉施設の個別機器における安全機能の重要度やこれまでの検査実績等を踏まえ、検査内容を見直し、平成11年5月20日以降に定期検査を開始する発電所から順次適用しているが、敦賀発電所1号機においても今回から適用されることとなった。
 概要は、添付−1の通り。



(添付−1)

定期検査における国の検査内容の変更について


 国は、電気事業法に基づいて実施している定期検査について、原子炉施設の個別機器における安全機能の重要度やこれまでの検査実績等を踏まえ、検査内容を見直し、平成11年5月20日以降に定期検査を開始する発電所から順次適用することとしている。
 主な変更内容は、以下の通り。

1. 安全設計審査指針で要求される安全機能との整合性からの見直し
 原子炉施設の個別機器における安全機能の重要度に応じた検査方法にて確認することとし、重要度の高い機器で、従来は事業者のみで確認していた検査の一部も、国の検査として確認する。
<例>
直流電源設備の充電状態の確認
非常用ディーゼル発電機が定格出力で運転可能であることの確認 他
*: 機器の安全機能の重要度
 原子力安全委員会が、平成2年に「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」として、発電用軽水型原子炉施設の安全性を確保するために必要な各種の機能(安全機能)について、安全上の見地からそれらの相対的重要度を定めたもので、安全機能に関する重要度で機器等をクラス1〜3に分類したもの。

2.

検査運用の見直し
 燃料取扱設備(BWR対象)、廃棄物処理設備等について、定期検査期間外においても検査を実施することが可能とする。
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