(別紙)

原子力発電所における安全管理徹底の実施状況

1. 臨界管理の確認
 安全確保を万全に期すため、所内の臨界管理について再確認した。
(1) 制御棒・非常炉心冷却装置等の安全施設が確実に作動し、原子炉を未臨界にし冷却できることを定期検査や運転管理の記録類により確認。
(2) 新燃料や使用済燃料の運搬・貯蔵について、所定の設備に収納され臨界に至らないことを運転管理の記録類により確認。
(3) 燃料取替用水のホウ素が未臨界を維持するのに必要な濃度であることを運転管理の記録類により確認。(10月1日確認)

2.

保安規定に基づく手順書類の調査
 今回の事故において、不適切な手順書が作成・使用されていたことを踏まえ、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく保安規定に照らし不適切な手順書類が作成・使用されていないかどうかを調査した。
 具体的には、発電所で使用されている手順書類について、保安規定のうち安全管理上重要な項目である運転管理、燃料管理、放射性廃棄物管理、放射線管理および教育・訓練の各条項に照らし合わせ、いずれの記載も保安規定の記載主旨を遵守していることを確認した。また、それらの手順書類に基づき実施した運転管理や定期検査の記録類を確認した結果、保安規定の各条項が遵守されていることについても合わせて確認した。
 以上により当社の各発電所では、使用している手順書類について、不適切な作成や使用がなく、さらに保安規定の条項が適切に遵守されていることを確認した。(10月4日〜14日確認)

3.

教育・訓練と安全意識の徹底
(1) 運転員に対する教育
 今回の事故に鑑み、原子力発電訓練センターや所内でのエンジニアリングシミュレータ等の訓練のなかから、原子炉の出力制御に影響を及ぼす希釈事象(炉心を循環するほう酸水の希釈により炉心に正の反応度が添加される事象)について、各発電室員に対して再度、直内教育を実施することにより、直員全体の安全意識高揚を図り、誤操作防止等運転管理の再徹底を行うように指示した。(10月5日指示)
(2) 原子炉主任技術者に対する徹底
 若狭支社長から各発電所の原子炉主任技術者に対し、「原子炉施設の運転に関し、保安の監督を誠実に行うことを任務とする」との原点に立ち戻り、保安規定に記載した主任技術者の職務を常に確固たる意思を持って遂行するよう指示・徹底した。(10月4日実施)
(3) 安全意識の再徹底
(a) 原子力発電所の安全管理の徹底について若狭支社長名文書を発信した。
これを受け、各発電所において安全朝礼等により、全所員への安全意識の高揚および安全管理の周知徹底を行なった。(9月30日文書発信、10月1日〜5日周知徹底実施)
(b) 副社長及び若狭支社長が各発電所を巡視し、全所員に対し安全管理の周知徹底を行なう。(副社長:10月14日・15日実施予定、若狭支社長:10月8日実施)
(c) 若狭支社幹部から協力会社に対して、今回の事故状況の説明を行なうとともに、安全意識・安全作業の徹底を行なった。(10月5日実施)
(d) 社員(社員家族含む)・協力会社従業員ならびに周辺の住民の方へ、不安の解消を目的として、今回の事故状況や当社の安全への取り組み状況をやさしく記載したリーフレットを作成した。(10月4日〜5日社員、協力会社配布済)
(e) 原子力に対する県民の意識や視点について社員の認識度や意識を株式会社原子力安全システム研究所によって調査し、原子力安全に対する社会的視野の拡大を図るために必要な改善策を検討中である。

4.

通報連絡の徹底
 迅速かつ適確な通報連絡を行うため、各発電所の通報連絡責任者および補助者に対して、若狭支社長等による「指導会」を開催し、指導するとともに、若狭支社長を委員長として、各発電所長、本店幹部等を委員とする「発電所運営特別委員会」を若狭支社に設置し、通報連絡の確実な実施に努めている。
 技術的な通報連絡の判断だけではなく、事務系役職者の社会的な視点も含めて積極的かつ適切な通報連絡ができるよう所内体制の強化を図り、運用している。

5.

理解活動
 従来から、地元説明会や一般見学会等を通じて、地元の方々への原子力発電所の安全・安全運転への取り組みについての理解活動に努めてきたが、今回の事故を踏まえ地元地区および関係団体等に対して事故の状況や原子力発電所の安全管理について説明し、地域住民の不安解消に努めている。
 今後も説明会の活動を通じて、原子力発電所の安全管理の取り組み状況を説明していく。
以上