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再生熱交換器の取替 |
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今回の第10回定期検査において、再生熱交換器については内筒を有しない構造のものに一式取替える。新再生熱交換器の設計・製作にあたっては品質管理面での充実として構造・強度や性能上重要な寸法等の確認を行う。また、試運転に際しては再生熱交換器各部の温度変動測定や運転パラメータの確認を行い、性能評価、設計考慮事項の検証等異常のないことの確認を行う。尚、取替えに際しては、電気事業法に基づく手続きを行い、国の審査を受ける。 |
(2) |
定期検査の充実 |
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a. |
高サイクル熱疲労に対する点検の充実 |
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今回発生した高サイクル熱疲労は、内筒を有する再生熱交換器内での高温水と低温水の混合による温度変動が原因であった。このため、高サイクル熱疲労について国内外の損傷事例を調査した結果、今回のような温度差の混合による変動が原因のものと、温度差の成層化とその変動によるものがあることが判明している。
これらの知見を十分踏まえ、発電所内の主要機器について、高サイクル熱疲労損傷の可能性を調査した結果、現時点で同様な損傷が発生するおそれはないと考えているが、国内外の損傷事例の類似箇所も含め、今後とも超音波探傷検査を計画的に実施するなど、健全性の確認に努めることとする。
なお、今回の定期検査では、海外での余熱除去系の高温水と低温水の混合によると推定される損傷事例に鑑み、上記のものも含め同様の類似箇所について、超音波探傷検査を実施する。 |
b. |
定期検査における検査の充実 |
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法律に基づく技術基準において、1次冷却水が流れる原子炉圧力バウンダリは第1種機器とされ、今回漏えいした箇所は、プラント運転中1次冷却水と同じ圧力・温度の系統であるが、設備的には原子炉圧力バウンダリとは隔離できることから第3種機器に分類されている。一方、供用期間中検査においては、これら機器の区分と配管等の口径により検査内容や頻度が定められている。これに基づき、今回の再生熱交換器胴は体積検査(超音波探傷検査)を実施していたが、漏えいした連絡配管は口径が小さいことから漏えい検査だけであった。
今回の事故では、これらの第3種機器の比較的広い範囲で熱疲労損傷が発生していたが、これらの損傷が供用期間中検査で検知できなかったことを十分反省し、以下の点検強化を図る。
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プラント運転中に1次冷却系統と同じ圧力・温度の流体が流れる格納容器内の化学体積制御系(抽出・充てん系)の1次冷却系統から再生熱交換器までの範囲の第3種管について、今後の定期検査において1種管並の頻度で溶接部の体積検査(超音波探傷検査)を計画的に実施し、配管の健全性を確認する。 |
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これら第3種管の供用期間中検査の改善策を踏まえ、民間規程として定めている「軽水型原子力発電用機器の供用期間中検査」の内容等の見直しに係る検討を今後実施していく。 |
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(3) |
運転管理面での改善 |
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格納容器内での一次冷却水漏えい発生時の漏えい箇所の早期特定、漏えい量の抑制のための改善を以下のとおり実施する。
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漏えい箇所の早期特定のため、監視カメラの増設、化学体積制御系に係る流量・温度等の運転パラメータの記録機能の拡充を行う。 |
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漏えい量をより一層抑制するため、隔離が可能な系統については隔離のための手順書を整備する。 |
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隔離が出来ない系統も含め、一次冷却水漏えい時における原子炉停止判断の明確化・冷却時間の短縮を図るため、非常時運転手順書の整備を実施する。 |
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(4) |
放射線被ばくの低減 |
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今回のような事故時に限らず定期検査時や通常運転時の除染作業における作業性の向上と被ばく線量の低減を図るため、自動除染装置や化学除染装置の技術開発に取り組む。 |
(5) |
検査手法の高度化 |
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超音波探傷検査等の非破壊検査技術の高度化の観点から、自動化適用範囲の拡大、異種金属溶接部等の欠陥検出精度の向上等に向けた技術改善策について、従来からの取組みを着実に進め、早期に実機適用出来るよう積極的に取り組む。 |