[記者発表][平成11年度10月]−[29日16時記者発表] 福井県・敦賀市・美浜町・高浜町・大飯町
安全協定に基づく立入調査の結果について(11−114)

1. 本年9月30日に発生した「(株)ジェー・シー・オー東海事業所ウラン加工施設における臨界事故」を踏まえ、県は、10月1日、施設設置者に対し、原子力発電所の安全管理の徹底等について要請し、10月14日、各設置者から安全管理の取り組み状況について報告を受けた。

1.

県および立地市町(敦賀市、美浜町、高浜町、大飯町)は、今回報告のあった安全管理の状況について現地で確認するため、安全協定に基づき、10月20日(敦賀発電所、新型転換炉ふげん発電所、高浜発電所)、26日(高速増殖炉もんじゅ建設所、美浜発電所、大飯発電所)に立入調査した。今回の調査では、施設設置者と通報連絡等の協定書を締結している隣接および隣々接市町村(小浜市、名田庄村、上中町、三方町、今庄町、河野村、越前町)が同行した。

1.

調査内容は、施設設置者より報告を受けた、臨界管理の状況、保安規定に基づく手順書類の調査、教育訓練、安全意識、通報連絡の徹底等の取り組み状況について、関係書類およびその遵守状況と関連機器の設置や運転状況等を現地にて調査した。

1.

調査の結果、臨界管理および保安規定に基づく手順書類に問題ないことを確認した。また、教育訓練、安全意識、通報連絡の徹底については、これまでも取り組んできているが、事務系職員に対する放射線教育の充実を図ること、関係自治体への迅速かつ的確な通報連絡に努めること、記録類の記載に不明確なものが認められた箇所について明確化を図ること等、軽微な事項について口頭で指摘した。

1.

今後とも、安全協定に基づく施設設置者の遵守状況を厳正に確認するとともに、設置者より報告を受けた内容については積極的に分かり易い情報を公表し、原子力発電所に対する県民の信頼が得られるよう努めて参りたい。



<添付資料>

1. 調査日程
第一回: 平成11年10月20日(水)
敦賀発電所
県、敦賀市、美浜町、今庄町
新型転換炉ふげん発電所
県、敦賀市、美浜町、三方町
高浜発電所
県、高浜町、名田庄村
第二回: 平成11年10月26日(火)
高速増殖炉もんじゅ建設所
県、敦賀市、美浜町、三方町、河野村、越前町
美浜発電所
県、美浜町、敦賀市、三方町
大飯発電所
県、大飯町、小浜市、三方町、上中町

2.

調査内容
 今回の臨界事故で指摘された問題点として、a.保安規定に違反する手順書が定められ更にこの手順書にも違反する作業が行われていたこと、b.これにより適切な臨界管理がなされなかったこと、c.作業員の適正な被ばく管理がなされていなかったこと、d.作業員の安全意識に対する基本的な認識が欠如しており教育訓練も不十分であったこと、e.事故発生後に関係機関への適切な通報連絡がなされなかったこと等が挙げられる。
 上記の問題を着眼点として、各発電所が原子炉等規制法に基づき、原子炉施設の保安に関する基本的な事項を定めた「原子炉施設保安規定」の内容を中心に、手順書類の整備状況およびその遵守状況を記録で確認するとともに、中央制御室でのプラントの運転状況や使用済燃料プールでの保管管理状況等を現地で確認した。
 調査項目および調査方法は以下の通り。
保安管理体制
保安規定や運転手順書等の所則の改定手続き方法についての書類確認
原子炉主任技術者の職務内容についての書類確認
運転管理
警報装置の検査記録確認
制御棒操作、反応度停止余裕等の臨界管理についての記録確認
中央制御室等にて、制御棒位置、ECCS運転状態等の表示の現地確認
燃料管理
新燃料の運搬・貯蔵における未臨界管理の設計・管理記録確認
新燃料貯蔵庫における保管状況の現地確認
燃料取替実施計画における未臨界管理についての手順・管理記録確認
使用済燃料の運搬・貯蔵における未臨界管理の設計・管理記録確認
使用済燃料貯蔵プールでの燃料保管状況について、ホウ酸濃度、水位、温度等を含めた現地確認
放射性廃棄物の管理
固体放射性廃棄物の貯蔵管理についての点検記録確認
液体放射性廃棄物の放出管理についての処理伝票確認
気体放射性廃棄物の放出管理についての処理伝票確認
放射線管理
管理区域内での放射線管理についての書類確認
作業員の被ばく管理についての管理方法の書類確認
放射線計測器類の保管管理についての検査記録確認
非常時の措置
非常時対策組織についての書類確認
通信連絡用器材、防護具類、放射線計測器類等の整備・保守管理についての書類確認
緊急時対策本部、モニタリングカー等の器材の整備状況の現地確認
教育訓練
教育訓練計画の内容(運転管理、燃料管理、放射線管理、関連会社への教育等)と実績確認
非常時対処訓練の内容と実績確認
今回の臨界事故を踏まえた安全意識の再徹底等の取り組み状況の確認
安全協定に基づく通報連絡の運用状況(連絡体制、通報訓練等)の確認

3.

調査結果
(1) 臨界管理:
 新燃料や使用済燃料は所定の設備に貯蔵し臨界に至らないこと、制御棒等の原子炉停止系の作動設定値やホウ酸注入系等のホウ酸濃度を、関連機器の設置場所および記録で確認した。
(2) 保安規定に基づく手順書類:
 運転管理、燃料管理、放射性廃棄物の管理、放射線管理、非常時の措置、教育訓練にかかる手順書類等は、保安規定に基づき作成されており、改正に当たっては所内の必要な手続きを経ていることを確認した。
 また、手順書に基づく検査記録等について、問題ないことを確認した。
(3) 教育訓練、安全意識の徹底:
 これまでの実施状況および臨界事故を踏まえた所員の周知徹底等の実施状況を、関係書類にて確認した。
(4) 通報連絡の徹底:
 通報訓練等の実施状況を確認した。
 以上のことから、臨界管理および保安規定に基づく手順書類に問題ないことを確認した。教育訓練、安全意識、通報連絡の徹底については、これまでも取り組んできているが、事務系職員に対する放射線教育の充実を図ること、関係自治体への迅速かつ的確な通報連絡に努めること、記録類の記載表現に不明確なものが認められた箇所について明確化を図ること等、軽微な事項について口頭で指摘した。