[記者発表][平成11年度11月]−[1日10時資料配布] 原子力安全対策課
MOX燃料製造時の検査データに関する調査結果について(11−115)

 本日、関西電力株式会社から、BNFL製MOX燃料製造時検査データの調査結果について、別添の通り最終報告を受けた。要旨は下記の通り。

 今回の最終報告については、明日の県議会や4日の県原子力環境安全管理協議会において、通商産業省および原子力安全委員会から説明を受けることとしている。
 高浜発電所4号機用のMOX燃料の装荷については、今後、法律に基づき、通産省が輸入燃料体検査を実施する予定であることから、これに対する通商産業省の判断を確認するとともに、県議会での議論や地元高浜町の意見等を踏まえ、慎重に対応していくこととする。

 
1. 報告書の概要
1−1. 調査結果(9月24日の報告も含む)
(1) 高浜発電所に保管中の高浜4号機用MOX燃料について
ペレット外径データについては、品質保証のための検査用と同じ測定精度を持つ工程管理用自動測定データがペレット全数について記録保存されており、その記録により適切な仕様のペレットであることを確認した。
品質保証用として測定したペレット外径の検査データについて、各製造ロットのデータを比較したところ、1ロットでデータの一致数が多くなっていたが、自動計測データとの統計分析結果や品質管理担当者の事情聴取結果等から、データの流用はなかったと判断した。
ペレット外径以外の検査データについても不正はなく、仕様通りに製造されていることを確認した。
(2) 現在製造中の高浜3号機用MOX燃料について
ペレット外径データについては、品質保証のための検査用と同じ測定精度を持つ工程管理用自動測定データがペレット全数について記録保存されており、その記録により適切な仕様のペレットであることを確認した。
品質保証用として測定したペレット外径の検査データについては、22ロットに他のロットの検査データが流用されていたことが判明した。
ペレット外径以外の検査データには不正はなく、仕様通りに製造されていることを確認した。
1−2. 今後の措置および再発防止対策
(1) 不正が認められた高浜3号機用MOX燃料ペレットの措置
データ不正が認められた22ロットについては、既に燃料集合体(4体)または燃料棒の状態に加工されているが、今後使用しないこととする。このため、これらの燃料集合体や燃料棒に含まれる燃料ペレットは再製造する。
(2) 主な再発防止対策
品質保証用測定装置、記録保存システムの改善
 これまでは、測定データを手入力しており、過去の検査データを簡単に複写できるシステムになっていたことから、品質保証用の外径測定装置での測定結果が自動記録されるシステムに改造する。
品質保証体制の強化
 BNFLでは、これまで品質保証のための検査が製造部門で行なわれていたため、検査員は運転員として製造作業にも従事しており、検査の重要性の認識が薄かったと考えられることから、今後は、検査員の所属を製造部門から品質保証を行なう部門へ変更し、製造部門に対する検査員の独立性を高める。

<製造メーカー(BNFL)における改善策>
検査員の資格認定を一旦取り消し、訓練および資格認定試験を実施する。
品質管理員による検査実施状況および検査データの監視頻度を高める。

<発注者(関西電力(株)、三菱重工(株))における改善策>
関西電力(株)は、高浜3号機用MOX燃料製造・加工再開に先立ち、今回の改善対策を監査し、立会検査の頻度を増やす。
三菱重工業(株)が常駐監督者を派遣し、今回の改善対策、今後の作業、検査を確認する。