[記者発表][平成11年度11月]−[5日14時記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の原子炉手動停止について(点検調査状況)(11−117)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、全出力運転中の平成11年10月27日22時38分、圧力管下部のシールプラグのシール機能が低下したことを示す「リーク検出器漏洩量極大(設定値1200cc/h)」警報が発報したが、リーク検出器の水位には変化が認められず、同日23時47分、同警報はリセットされた。
 念のため、各圧力管のグループ毎にシールリーク検出器での水位変化量(シール漏えい量)を確認していたところ、「グループ9(圧力管10本分)」約180cc/hの漏えい量が検出された。このため当該グループの監視強化を行っていたところ、10月28日4時19分に「リーク検出器漏洩量大(設定値 300cc/h)」の警報が発報し、その後も断続的に警報が発信し、漏えい量は約300cc/h前後で推移していた。
 同日14時20分頃から、シール機能が低下した圧力管(シールプラグ)を特定する作業を実施した結果、15時26分に漏えいしている圧力管1体が特定された。
 当該圧力管シールプラグの点検調査を実施するため、同日18時2分より出力降下を開始し、20時25分に発電を停止した。
 圧力管シールプラグからの漏えい水は、シールリーク検出系を経由して機器ドレン系に回収されており、床面等への漏えいは生じておらず、本事象による環境への放射能の影響はない。[平成11年10月28日 記者発表済]

[点検調査状況]
1. 当該圧力管から燃料集合体およびシールプラグ等を取り外し、シールプラグについて外観観察や分解調査を実施しているが、現在までのところ通常観察される面荒れはあるものの、漏えいの原因となるような傷などは認められていない。

2.

当該圧力管の内面について外観観察を実施した結果、付着物や傷などは確認できなかった。このため、予備のシールプラグを当該圧力管に装着し、予備耐圧試験(圧力約70kg/cm2)を行ったところ、シール部からの漏えいが確認されたため、今後、圧力管内面のシール部についてさらに詳細な調査・点検を実施する予定である。

3.

27日22時38分に発信した「リーク検出器漏洩量極大」警報は、シールリーク検出系のグループ選択がグループ9からグループ10に切り替わった後に発信していることから、この警報発信の原因調査のため、当該の検出器や警報検出系について点検調査を実施している。

4.

なお、今回の事象発生時において関係自治体等への通報連絡が遅れた要因や今後の改善策については、現在詳細に検討中である。



(参考)

科学技術庁によるINESによる暫定評価尺度は0
INES: 国際原子力評価尺度


原子炉本体概念図(立断面)・漏えい検出チャンネルの圧力管位置図