[記者発表][平成11年度11月]−[15日11時資料配布] 原子力安全対策課
美浜発電所2号機の原子炉起動と調整運転開始について(第18回定期検査)(11−119)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜2号機(加圧水型軽水炉;定格出力50.0万kW)は、本年9月3日から第18回定期検査を実施していたが、11月16日に原子炉を起動し、翌日、臨界となる予定である。
 その後は諸試験を実施し、11月中旬(11月18日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、12月中旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 原子炉容器上部ふた取替工事(添付−1図−1図−2参照)
 海外における上部ふた管台部での損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、既設の原子炉容器上部ふたを、管台部の材質等を変更した新しい原子炉容器上部ふたに取替えた。
(2) 余熱除去系統注入ライン増強工事(図−3参照)
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、余熱除去系ポンプ以外でも再循環が可能なように、格納容器地下2階床面に代替再循環ポンプを設置するとともに同ポンプから余熱除去系に接続する配管を設置した。 
*1; アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2; 再循環注入モード
 1次冷却材喪失事故時、工学的安全注入系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水タンク水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
(3) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−4参照)
 海外における原子炉冷却系統設備配管部での応力腐食割れ事例に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取替えた。

2.

燃料集合体の検査結果
燃料集合体全数121体のうち、33体(うち28体が新燃料集合体で、新燃料は全て高燃焼度燃料集合体)を取り替えた。
燃料集合体の外観検査(25体)を実施した結果、異常は認められなかった。

3.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
 A−蒸気発生器伝熱管全数(計3,382本)について、渦流探傷検査を実施した結果、異常は認められなかった。

4.

敦賀発電所2号機のトラブル反映としての点検
再生熱交換器の点検
 高浜発電所2号機の再生熱交換器は、内筒を有しない構造であるが、今回の定期検査期間を利用して、充てん系および抽出系の連絡管曲がり部および溶接部について非破壊検査(目視検査、超音波探傷検査、放射線透過検査)を実施し、異常のないことを確認した。

5.

次回定期検査の予定
 平成13年 冬頃


(添付1)

美浜発電所2号機原子炉容器上部ふた取替工事の概要

1. 概要
 美浜発電所2号機の原子炉容器の上部ふた取替工事は、平成11年9月3日からの定期検査開始をもって、工事を開始しました。
 平成11年9月19日に新上部ふたを原子炉格納容器内へ搬入し、10月15日に旧上部ふたの搬出を行い、同日蒸気発生器保管庫へ搬入しました。
 平成11年10月29日に新上部ふたの原子炉容器への吊り降ろしを行い、その後ボルトの締めつけ等を行って、11月8日に組み立てを完了しました。
 また、原子炉容器上部ふた取替工事としての総被ばく線量当量は約0.2人・Sv(平成11年10月31日現在)であり、放射性廃棄物は旧原子炉容器上部ふたおよび制御棒駆動軸等、ドラム缶に換算して約200本(平成11年10月31日現在)が発生しており、それらを蒸気発生器保管庫および既設の廃棄物庫に保管しています。

2.

原子炉容器上部ふた取替工事計画経緯
項目  
県および美浜町に原子炉容器上部ふた取替えを申し入れ(事前了解願い) H8.5.27
県および美浜町が原子炉設置変更許可申請を行うこと了承 H8.7.29
通産省に原子炉設置変更許可を申請 H8.7.29
通産省が原子炉設置変更を許可 H9.3.18
県および美浜町が原子炉容器上部ふた取替計画を了承 H9.4.11
原子炉容器上部ふた取替工事開始 H11.9.3
原子炉容器上部ふた取替工事完了 H11.11.8

3.

原子炉容器上部ふた取替工事実施状況
新原子炉容器上部ふた海上輸送 H11.9.13〜H11.9.16
新原子炉容器上部ふた水切り H11.9.16
新原子炉容器上部ふた搬入・仮置き H11.9.19〜H11.9.20
旧原子炉容器上部ふた搬出 H11.10.15
原子炉容器組立て H11.10.28〜H11.11.8
元の位置へ▲