[記者発表][平成11年度11月]−[18日15時記者発表] 原子力安全対策課
新型転換炉ふげん発電所の原子炉手動停止について(原因調査状況)(11−120)

 このことについて、核燃料サイクル開発機構から下記のとおり連絡を受けた。

 新型転換炉ふげん発電所(新型転換炉;定格出力16.5万kW)は、全出力運転中の平成11年10月27日22時38分、圧力管下部に装着しているシールプラグのシール機能が低下したことを示す「リーク検出器漏洩量極大(設定値1200cc/h)」警報が発信したが、リーク検出器の水位に変化は認められず、その後同警報はリセットされた。
 念のため、各圧力管毎にシールリーク検出器によりシール部からの漏えい量を確認した結果、「グループ9」で漏えい量の増加が検出された。このため当該グループの監視を継続していたところ、10月28日4時19分、「リーク検出器漏洩量大(設定値300cc/h)」の警報が発信し、その後も断続的に警報の発信したため、シール機能が低下した圧力管を特定する作業を行った。その結果、同日午後、圧力管(シールプラグ)1体からの漏えいが特定されたことから、当該圧力管シールプラグの点検調査を実施するため、同日18時2分より出力降下を開始し、20時25分に発電を停止した。
 本事象による環境への放射能の影響はない。

[点検調査結果]
(1) 当該圧力管から燃料集合体およびシールプラグ等を取り外し、シールプラグについて外観観察や分解調査を実施した結果、漏えいの跡と推定される 付着物や通常観察される面荒れはあるものの、漏えいの原因となるような傷などは認められなかった。
(2) 当該圧力管に、予備のシールプラグを装着し、予備耐圧試験(圧力約70kg/cm2)を行ったところ、シール部からの漏えいが確認された。[平成11年10月28日、11月5日 記者発表済]
(3) 圧力管内面について、詳細な観察を行った結果、シールプラグのシールエレメント(第一次シール部)との当たり面に縦方向に長さ約3mmの微小な傷が確認された。
(4) 圧力管内面やシールプラグの付着物を調査した結果、通常認められる数μm〜700μmの粒径の鉄やジルコニウムの酸化物(クラッド)が確認された。
(5) 最初に発信した「リーク検出器漏洩量極大」警報は、シールリーク検出器へのグループ選択がグループ9から10に切り替わった時に発信しており、その際水位の変化が認められなかったことから、この警報発信の原因を調査した。その結果、水位検出器に貯まっているシール水は所定の水位となると自動的に排出されるが、今回の警報は、グループ選択の切り替わりと水位検出器シール水の排出が重なったことから、この排出時の水位変化(絶対値)を検出し警報を発信したものと推定された。

[推定原因]
 以上の調査結果から、前回(第15回)定期検査において、当該圧力管にシールプラグを装着した際、比較的大きなクラッド等の異物が圧力管シール面とシールプラグのシールエレメントの間にかみ込み、圧力管シール面に微小な傷が発生したためシール機能が低下し、シール漏えい量が増加したものと推定された。

 今後は、当該圧力管内面のシール面を研磨し、予備のシールプラグにて、漏えいのないことを確認した後、当該圧力管に燃料集合体および所定のシールプラグを装着し、漏えい試験にて健全性を確認する予定である。
 「シールリーク検出器」の水位検出器については、今回の事象を踏まえ水位が増加した場合のみ発信するようプログラムを修正する。

 なお、今回の事象発生時において関係自治体等への通報連絡が遅れた要因や今後の改善策については、現在詳細に検討中である。


(参考)

科学技術庁によるINESによる暫定評価尺度は0
INES: 国際原子力評価尺度


シールプラグ断面図