[記者発表][平成11年度11月]−[26日13時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所2号機の第10回定期検査開始について(11−122)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力116.0万kW)は、定格出力運転中の平成11年7月12日に、化学体積制御系再生熱交換器連絡配管からの一次冷却水漏えいにより、原子炉を手動停止した。
 その後の調査の結果、漏えい原因は、再生熱交換器の内部構造に起因して、当該連絡配管等に高サイクル熱疲労割れが発生したためと判明したことから、再発防止策として、当該再生熱交換器を取替えることとし、年度当初の計画では12月中旬から予定していた第10回定期検査の開始時期を繰り上げ、11月27日から約3ヶ月の予定で実施する。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 非常用予備発電装置
(9) 蒸気タ−ビンおよび蒸気タ−ビン附属設備

1. 主要工事等
(1) 化学体積制御系再生熱交換器連絡配管からの一次冷却水漏えい事故を踏まえた対策工事(図−1参照)
イ. 化学体積制御系再生熱交換器取替工事
 再生熱交換器内で、内筒の内側を流れる「主流(低温)」と内筒の外側を流れる「バイパス流(高温)」の温度差に起因して、胴内部の流況が周期的に変化(フローパターン変動)し、大きな温度変動が与えられ、高サイクル熱疲労による損傷が生じたため、内筒を有しない構造の熱交換器に取替える。
ロ. 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの発生防止
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例としては、高温・低温水の合流による温度変動が原因のものと、熱成層による温度境界面の変動が原因のものがあり、これらの事例を十分踏まえ、類似対象箇所を抽出し、健全性確認のため、今後計画的に点検を実施する。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性確認の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている範囲の点検を強化する。具体的な箇所としては、化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管から再生熱交換器までの範囲が該当するため、これらについて従来の供用期間中検査に加え、超音波探傷検査を第1種管並みの頻度で実施する。

<超音波探傷検査実施箇所>
a. 原子炉格納容器内の第3種管で、一次冷却水と同温・同圧の流体が流れる範囲の突き合わせ溶接部(充てん及び抽出系統)
b. 第1種管で、熱成層の発生が否定できない箇所の溶接部(充てん系統、余熱除去系統、余剰抽出系統(ループドレン系統)、安全注入系統)
c. 第3種管で、高温低温水合流部の母材及び溶接部(抽出系統低圧抽出配管接続部、余熱除去系熱交換器バイパスライン接続部、余熱除去ポンプ入口ミニマムフローライン接続部)
ハ. 運転管理面の改善
 格納容器内で発生する1次冷却水漏えい事故時において、漏えい量をより一層低減するため、漏えい箇所の早期特定のための監視方法の充実を図るとともに、漏えい箇所の隔離や原子炉の停止・冷却に関する運転手順の整備を図る。また、漏えい量把握のための評価手法の整備を図る。

<漏えい箇所の早期特定、漏えい量抑制のための改善工事>
a. 漏えい箇所の早期特定のため、監視カメラを9台増設する。
b. 化学体積制御系に係る流量・温度等の運転パラメータの記録機能の拡充を行う。
(2) 湿分分離加熱器・スチームコンバータ等伝熱管取替工事(図−2参照)
 蒸気発生器の信頼性向上の観点から、湿分分離加熱器(A・B)第2段、スチームコンバータ、スチームコンバータドレンクーラーの伝熱管を銅系材料のものからステンレス系材料のものに取替え、蒸気発生器への不純物持ちこみの低減化を図る。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数193体のうち、48体(これらはすべて新燃料かつ高燃焼度燃料)を取り替える予定である。

3.

運転再開予定
原子炉起動・臨界       平成12年1月下旬
発電再開(調整運転開始) 平成12年1月下旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成12年2月下旬