[記者発表][平成11年度11月]−[29日11時記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所1号機の第17回定期検査開始について(11−123)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力34.0万kW)は、平成11年12月1日から約4カ月の予定で第17回定期検査を実施する。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 非常用予備発電装置
(9) 蒸気タ−ビンおよび蒸気タ−ビン附属設備

1. 主要工事等
(1) 低圧タービンロータ取替工事(図−1参照)
 低圧タービンロータについて、耐応力腐食割れの向上等、信頼性確保の観点から、動翼円板とロータ車軸を現在の『焼嵌(やきば)め型ロータ』から、円板と車軸が一体化された『全一体型ロ−タ』に取替える。
(2) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−2参照)
 海外における原子炉冷却系統設備配管部での応力腐食割れ事例に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取替える。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数121体のうち、49体(うち32体は新燃料集合体で新燃料は全て高燃焼度燃料)を取り替える予定である。

3.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−3参照)
(1) 再生熱交換器の点検
 美浜発電所1号機の再生熱交換器は、内筒を有しない構造であるが、連絡管溶接部、連絡管エルボ母材部の超音波探傷検査(58箇所)を実施し、健全性を確認する。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(24箇所)を抽出し、今定期検査以降、計画的に健全性の点検を実施する。
 また、熱成層による高サイクル熱疲労の事象を反映して、類似箇所(2箇所)の点検を実施することとしている。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(3箇所)について、超音波探傷検査を実施する。

4.

運転再開予定
原子炉起動・臨界 平成12年2月下旬
発電再開(調整運転開始) 平成12年2月下旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成12年3月下旬

5.

その他
原子炉容器上部ふた取替工事の延期について
 美浜1号機は、今定期検査で原子炉容器上部ふたの取替工事を予定していたが、今年1月に大飯2号機で発生した制御棒落下事象再発防止対策として、取替工事に伴い新たに製作する制御棒駆動装置の内部構成品については、腐食を予防するため、あらかじめ保護皮膜を形成させたものを使用することとしていたが、この作業に遅れが生じたことから、今回の取替工事を次回定期検査へ延期することとした。