[記者発表][平成11年度12月]−[22日15時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1号機のシュラウドサポート部損傷の調査状況について(11−136)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7万kW)は、平成11年8月20日から第26回定期検査を開始し、シュラウド取替工事として、旧シュラウドを切断・撤去し、新シュラウド据付のため、下部シュラウドサポート部の検査を行っていたところ、12月9日、下部シュラウドサポート部に複数のひび割れが認められた。なお、本事象に伴う環境への放射能の影響はない。[平成11年12月10日発表済み]

 その後、損傷が認められた下部シュラウドサポート部および仮保管されていた上部シュラウドサポート部について、浸透探傷試験等により、詳細に状況調査したところ、以下のことが確認された。

(1) 下部シュラウドサポート部のひび割れは、内側に19箇所(最大長さ約93mm)認められた。うち11箇所は縦溶接部に、8箇所は平板(母材)で溶接補修等が認められた部位であった。また、外側には内側から進展して貫通していると考えられる割れが1箇所認められた。当該部は溶接補修が認められた部位に相当していた。
(2) 上部シュラウドサポート部のひび割れは、内側に約60箇所認められた。これらは、いづれも上部と下部のシュラウドサポートの周方向溶接部またはその近傍であった。内側に認められた割れのうち、4箇所は下部シュラウドサポート部の割れに連続していると推測された。また、外側には4箇所の割れが認められ、そのうち、内側の割れが進展して貫通したとみられる割れが2箇所認められた。
(3) 下部シュラウドサポート部と原子炉圧力容器との溶接部(内側および外側)のひび割れは、内側の溶接金属部のみに約230箇所認められた。外側溶接部や原子炉圧力容器内面に施工されているステンレス肉盛部など、その他の部位については、割れは認められなかった。
(4) ひび割れが認められた部位について、表面の組織観察(レプリカ観察)したところ、割れは金属組織の結晶粒界に沿ったものであることが観察された。

 引き続き、原因調査として、レプリカ採取による金属組織の観察および段階的に切削して割れ深さを測定するとともに、金属サンプル(上部および下部シュラウドサポート部の切断面)を採取し、破面観察、金属組織観察、硬さ測定、化学成分分析等の詳細調査を実施する。

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
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