[記者発表][平成12年度2月]−[14日14時記者発表] 原子力安全対策課
敦賀発電所1号機の定期検査状況について(原子炉再循環ポンプC号機からの異音発生の原因と対策)(12−101)

 このことについて、日本原子力発電株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 敦賀発電所1号機(沸騰水型軽水炉;定格出力35.7kW)は、平成11年8月20日から第26回定期検査を開始し、平成13年2月9日20時に原子炉を起動する予定であったが、C再循環ポンプのモータ下部軸受け付近で断続的に異音が発生したことから、同ポンプを停止するとともに、当該箇所の点検を行うこととした。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はない。[平成13年2月9日 発表済]

1. 調査結果(図−1図−2
 C再循環ポンプのポンプ軸とモータ軸とを結合しているカップリング部(フランジ構造)を切り離し、モータの下部軸受部等を点検した結果は以下のとおりである。
モータ単体で運転した結果、異音の発生は認められず、モータ下部軸受部の分解点検でも異常は認められなかった。
モータ軸とモータカップリングとはキー溝構造で一体に組み立てられているが、モータ軸外面とカップリング部内面の一部に、同じ部位で金属性の腐食痕が認められた。
発生していた異音について解析した結果、モータの回転とともに金属がこすれあうような音であった。

2.

推定原因
 モータ軸外面とカップリング部内面とはわずかな隙間で一体となって回転しているが、ポンプ回転の上昇に伴い、モータ軸とカップリングの相対位置がわずかにずれることから、原因は、この隙間にあった金属性の腐食痕のところでモータ回転に応じてわずかなこすれ(接触)が生じ異音を発生したものと推定された。
 今回認められた金属性の腐食痕の発生原因は、今定期検査で再循環ポンプの分解点検を実施したが、当該部の組み立て復旧時に使用した布ウェス等を介して微細な金属粉が付着し、モータ軸とカップリングの間で金属粉によるこすれが生じ、その後、腐食が進んだものと推定された。

3.

対策
当該カップリング部およびモータ軸に認められた金属性の腐食痕を除去するなど手入れを行い、当該部を復旧する。
今後、機器の分解点検に使用する布ウェス等について、仮置中はビニール袋に入れ固縛する等、金属粉が混入しないようにするとともに、モータ軸表面等の清浄管理の徹底を図ることとした。

 これらの対策を実施後、当該ポンプの試運転を行い健全性を確認した上で原子炉を起動する予定である。