[記者発表][平成12年度2月]−[26日11時資料配布] 原子力安全対策課
高浜発電所2号機の原子炉起動と調整運転開始について(第19回定期検査)(12−105)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、本年1月13日から第19回定期検査を実施していたが、2月27日に原子炉を起動し、翌28日、臨界となる予定である。
 その後は諸試験を実施し、3月上旬(3月2日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、3月下旬には経済産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台あるポンプのうち、AおよびCポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検し、異常のないことを確認した。
(2) 余熱除去系、格納容器スプレイ系配管接続工事(図−2参照)
 アクシデントマネジメント対策(*1)として、炉心損傷を防止するため工学的安全注入系の再循環注入モード(*2)による長期的な炉心冷却方式の多様化を想定し、格納容器スプレイポンプを用いた再循環も可能なように、余熱除去系と格納容器スプレイ系を接続する配管を設置した。
 なお、当工事により、県内発電所のアクシデントマネジメント対策はすべて終了した。
*1 アクシデントマネジメント対策
 設計で考慮していた事故の範囲を大きく超え、炉心の損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)に備え、現状の設備を有効に活用してその発生防止や発生後の影響を緩和することを考慮した対策。
*2 工学的安全注入系の再循環注入モード
 1次冷却材喪失事故時、工学的安全注入系により燃料取替用水タンクのホウ酸水を原子炉内に注入するが、燃料取替用水タンク水位が低下した際には、格納容器再循環サンプに溜まった冷却水を余熱除去ポンプ等により原子炉に再注入すること。
(3) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−3参照)
 海外における損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備のうち、今定期検査では、化学体積制御系統配管の一部について、材質等を変更したものに取替えた。
(4) 化学体積制御系統浄化流量増加工事(図−4参照)
 定期検査時における被ばく低減を図ることを目的として、化学体積制御系統の流量を増加し、1次冷却材中の放射性腐食生成物を効率的に除去するため、弁の一部取替え等を実施した。
(5) 1次冷却系統脱気装置設置工事(図−5参照)
 プラント起動時における1次冷却材系統の溶存酸素を低減し、配管の応力腐食割れに対する環境改善を図ることを目的として、脱気装置(1,2号機共用)との接続配管を設置した。

2.

燃料集合体の検査結果
燃料集合体全数157体のうち、65体(うち52体が新燃料集合体で、新燃料は全て高燃焼度燃料集合体)を取り替えた。
燃料集合体の外観検査(22体)を実施した結果、異常は認められなかった。

3.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
 B−蒸気発生器伝熱管全数(計3,382本)について、渦流探傷検査を実施した結果、異常は認められなかった。

4.

次回定期検査の予定
 平成14年 春頃