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試験施設調査 |
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当該部を切り出し、試験施設にて詳細調査を行った。
浸透探傷検査の結果、エルボ背側配管外表面の溶接部上端に沿って21mmの指示が認められたが、エルボ内の配管内表面に指示は認められなかった。
割れの断面観察の結果、割れはエルボソケットの隅肉溶接部の内面端部から配管部を経由して溶接部上端外表面に向かって貫通しており、破面にはビーチマーク模様が認められた。
これらのことから、割れは内面からの疲労割れによるものと判明した。 |
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現地調査 |
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当該エルボの上流にあるA系オリフィス(穴径5.5mm、長さ305mm)の点検を行った結果、オリフィス出口部において、約35mmの範囲にわたり出口端部に向かって広がる円錐状の減肉(端部の直径で約20mm)が認められ、減肉部の表面は肌荒れしていた。
これらのことから、オリフィス出口部で流れに乱れが生じている可能性のあることがわかった。 |
(3) |
運転履歴調査 |
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抽出水系統の運転履歴(温度、圧力、流量)の調査を行った結果、運転中においては温度、圧力、流量等はほぼ一定であるが、定期検査時等のプラント起動、停止の際には、一次冷却材浄化のため抽出水流量を増加させた運転を行っており(抽出切替)、その際、一時的にオリフィス下流側の圧力を通常運転時の約23kg/cm2から約10kg/cm2 に降下させていることがわかった。 |
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流動試験 |
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抽出水配管系を模擬した装置を用いて流動試験を行った結果、オリフィス出口部が健全な状態で、オリフィス下流側の圧力を約10kg/cm2に下げると、出口部で多量の気泡が発生(キャビテーション)し、その発生・消滅に伴い、配管内で圧力変動が起こることがわかった。
また、オリフィス出口部が今回認められた程度に円錐状に広がった状態では、オリフィス下流側の圧力が通常の約23kg/cm2であっても、出口部で多量の気泡が発生し、配管内で圧力変動が起こることが確認された。 |
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割れの発生進展評価 |
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流動試験で得られた圧力変動をもとに、エルボ溶接部の内面端部に発生する応力を評価した結果、その応力は疲労限度を超えており、当該部で割れが発生し進展すると評価された。 |