[記者発表][平成12年度4月]−[25日16時記者発表] 原子力安全対策課
高浜発電所1号機の復水器の点検結果について(12−13)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、定格出力で運転中のところ、4月19日20時8分頃、中央制御室タービン盤で「薬注盤注意」の警報および現地盤で「復水ナトリウム盤注意」の警報が発信したことを確認した。
 このため、復水器水質の監視強化を行うとともに、蒸気発生器内の2次側水を分析した結果、通常値を上回る塩素イオンが検出されたことから、復水器伝熱管からの海水漏えいと判断し、点検・補修を行うため、同日21時7分より出力降下を開始、22時7分、約80%出力とした。[平成12年4月19日資料配布済]

 今回の警報発信時に、水質監視計器の指示値に有意な変動がみられ、海水漏えいがあると推定された復水器2B水室伝熱管全数(既施栓管95本を除く10,069本)について、渦流探傷検査を実施したところ、伝熱管233本に施栓基準に達する減肉信号指示が認められた。
 これら、減肉信号指示管のうち、貫通に近い減肉指示(約90%以上の減肉)が認められた伝熱管13本について、漏えい試験を行なった結果、1本に漏えいが確認され、管内面をファイバースコープにより観察した結果、微小な貫通孔と考えられるくぼみ状の欠陥が認められた。
 漏えいの原因は、伝熱管内面に貝類等が付着し、伝熱管内を流れる海水の流速が局部的に変化し、内面からの減肉が発生、進展したものと推定された。

 対策として、漏えい管1本と施栓基準に達した伝熱管232本について施栓を行ない、漏えいのないことを確認した後、26日夜頃から出力を上昇させ、27日未明に定格出力に復帰する予定である。

(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
評価対象外 評価対象外


表. 高浜1号機復水器伝熱管の累積施栓数について
機器名 伝熱管設備数 今回の施栓数 累積施栓数
1A−復水器 10,164本 144本
2A−復水器 10,164本 94本
3A−復水器 10,164本 139本
1B−復水器 10,164本 127本
2B−復水器 10,164本 233本(漏えい管1本を含む) 328本
3B−復水器 10,164本 93本


概略系統図
復水器概要図・復水器詳細図
復水器伝熱管漏えい位置図