[記者発表][平成12年度5月]−[8日11時資料配布] 原子力安全対策課
高浜発電所1号機の第19回定期検査開始について(12−19)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、第19回定期検査を、平成12年5月10日から約2カ月の予定で開始することとした。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 非常用予備発電装置
(9) 蒸気タービンおよび蒸気タービン付属設備


1. 主要工事等
(1) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−1参照)
 海外における原子炉冷却系統設備配管部での応力腐食割れ事例に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取替える。
(2) 化学体積制御系統浄化流量増加工事(図−2参照)
 定期検査時の作業員被ばく低減の観点から、1次冷却材系統の機器・配管内の放射性腐食生成物を効率的に除去するため、化学体積制御系統における一部の弁の取替えおよび配管の増設等を行なう。
(3) 1次冷却系統脱気装置設置工事(図−3参照)
 プラント起動時における1次冷却材系統の溶存酸素を低減し、配管の応力腐食割れに対する環境改善を図るため、脱気装置(1、2号機共用)および接続配管を設置する。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数157体のうち、52体を取り替える予定である。
 取替用燃料集合体のうち44体は、新燃料集合体(高燃焼度燃料集合体)である。

3.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−4参照)
(1) 再生熱交換器の点検
 高浜発電所1号機の再生熱交換器は、内筒を有しない構造であるが、連絡管溶接部、連絡管エルボ母材部の超音波探傷検査(36箇所)を実施し、健全性を確認する。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(43箇所)を抽出し、今定期検査以降、計画的に健全性の点検を実施する。
 また、熱成層による高サイクル熱疲労の事象を反映して、類似箇所(2箇所)の点検を実施することとしている。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(10箇所)について、超音波探傷検査を実施する。

4.

運転再開予定
原子炉起動・臨界 平成12年6月中旬
発電再開(調整運転開始) 平成12年6月下旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成12年7月中旬