[記者発表][平成12年度6月]−[16日16時資料配布] 原子力安全対策課
高浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について(12−35)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、平成12年5月10日から、第19回定期検査を実施していたが、6月20日に原子炉を起動し、同日、臨界となる予定である。
 その後は諸試験を実施し、6月22日頃に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、7月中旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−1参照)
 海外における原子炉冷却系統設備配管部での応力腐食割れ事例に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取替えた。
(2) 化学体積制御系統浄化流量増加工事(図−2参照)
 定期検査時の作業員被ばく低減の観点から、1次冷却材系統の機器・配管内の放射性腐食生成物を効率的に除去することを目的として、化学体積制御系統の浄化流量を増加させるため、この系統の一部の弁の取替えおよび配管の増設等を行なった。
(3) 1次冷却系統脱気装置設置工事(図−3参照)
 プラント起動時における1次冷却材系統の溶存酸素を低減し、配管の応力腐食割れに対する環境改善を図るため、脱気装置(1、2号機共用)および接続配管を設置した。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
 A、C−蒸気発生器伝熱管全数(計6,764本)について、渦流探傷検査を実施した結果、有意な信号は認められなかった。

3.

燃料検査結果
燃料集合体全数157体のうち、61体を取り替えた。取替燃料のうち44体は、新燃料集合体である。
燃料集合体の外観検査(8体)を実施した結果、異常は認められなかった。

4.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−4参照)
(1) 再生熱交換器の点検
 高浜発電所1号機の再生熱交換器は、内筒を有しない構造であるが、連絡管溶接部、連絡管エルボ母材部の超音波探傷検査(36箇所)を実施し、健全性を確認した。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(43箇所)について超音波探傷検査を実施し、健全であることを確認した。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(10箇所)について、超音波探傷検査を実施し、健全であることを確認した。

5.

次回定期検査の予定
 平成13年夏頃