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大飯発電所2号機の点検結果について(湿分分離加熱器ドレンタンクからの蒸気漏えいの原因と対策)(12−38) |
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このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。
大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、定格出力運転中の7月7日9時50分頃、運転員の巡回点検で、2次系にある3B湿分分離加熱器第2段ヒータドレンタンクの点検用マンホールから蒸気が漏れているのを確認した。
このため、同日11時15分より出力降下を開始し、13時に約65%出力として、当該ドレンタンク廻りを隔離し、点検・補修を実施した。
なお、この事象による環境への放射能の影響はない。[平成12年7月7日 記者発表済]
湿分分離加熱器 |
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高圧タービンで仕事をした蒸気を、引き続き低圧タービンで使用する前に、湿分を除去し蒸気の温度を高めるために再加熱する熱交換器 |
ヒータドレンタンク |
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湿分分離加熱器で再加熱のため使用した蒸気は、加熱後水になるため、これを回収して一時的に貯蔵するタンク |
1. |
調査結果 |
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漏えい部は、ヒータドレンタンクの点検用マンホールの下側フランジ部であることから、フランジ部およびパッキン等について、点検調査を実施した。 |
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(1) |
フランジ部および締付けボルトの調査 |
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タンク側フランジ部および蓋側フランジ部の形状寸法に問題はなかった。 |
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漏えい箇所近傍の締付けボルト2本を含む計5本のボルトの締付け力を確認した結果、必要な締付け力であることを確認した。 |
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締付けボルト全数(16本)の寸法測定や変形調査でも、異常はなかった。 |
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(2) |
フランジ部パッキンの調査 |
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フランジ部からの漏えいを防止するために設置されたパッキン(ノンアスベストパッキン)の取付状況について寸法測定を行った結果、取付位置がわずかに下方向にズレていたが、締め付け寸法等に問題はなかった。 |
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タンク側フランジ部と接するパッキン面の下方で、内側から外側に向かって蒸気が漏えいした跡が認められた。 |
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(3) |
フランジ部シート面の調査 |
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タンク側フランジ部シート面の外観点検を実施した結果、漏えい箇所に幅約21mmの帯状の漏えい跡が認められ、この漏えい跡のシート面表面に幅約3〜6mm、長さ約6mm、深さ最大約0.2mmの傷が5箇所認められた。 |
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マンホール蓋側のシート面に、異常は認められなかった。 |
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以上の調査結果から、今回の漏えいは、タンク側フランジ部のシート面に生じた傷とパッキンの間から漏えいしたものと推定された。 |
(4) |
シート面に傷が発生した要因の調査 |
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当該フランジの類似品を用いて、点検で使用する工具類との接触傷と比較したが、類似のものはなく、今回の傷は、異物等により生じたものと推定された。 |
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当該フランジ部は、平成7年第12回定期検査で分解点検を実施しているが、その時の作業手順を調査した結果、マンホール復旧時には、フランジ部シート面の洗浄、外観点検も実施していることから、フランジ部に異物が付着していた可能性は低いが、取り替えたパッキンに誤って異物等が付着する可能性は否定できなかった。 |
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2. |
推定原因 |
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前回の分解点検時に、当該フランジ部とパッキンの間に異物等が噛み込んだ状態で組み立てられ、その後の運転状態では、パッキンの機能に問題はなかったが、運転期間の継続に伴い、タンク内部の圧力により異物等が徐々に外側に移動しシート面に傷を発生させたため、今回の漏えいに至ったものと推定された。 |
3. |
対策 |
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当該フランジシート面を機械加工により手入れし、フランジパッキンを新品に交換した。(7月8日完了)交換後、通常の運転圧力で漏えいのないことを確認した。 |
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パッキン組み込み時に、フランジ部およびパッキンに異物が付着していないことを確認するなど、異物管理の徹底等について作業要領書に追記することとした。 |
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なお、上記の対策を実施したことから、本日昼頃から出力を上昇し、同日、深夜に定格復帰する予定である。
(通商産業省によるINESの暫定評価尺度) |
基準1 |
基準2 |
基準3 |
評価レベル |
評価対象外 |
評価対象外 |
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2次系主管系統概要図
3B−湿分分離加熱器第2段ドレンタンクマンホール部漏えい状況図
漏えい発生のメカニズム(推定)