[記者発表][平成12年度7月]−[26日11時記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所3号機の第18回定期検査開始について(12−45)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、平成12年7月28日から約3カ月の予定で第18回定期検査を実施する。
 定期検査を実施する主な設備は次のとおりである。
 なお、美浜3号機は本日よりコーストダウン運転を実施し、明日の出力降下開始時の電気出力は約99%の予定である。

(コーストダウン運転)

 通常は、燃料の燃焼反応度の低下に伴い、1次冷却材系統のホウ素(制御材)の濃度を希釈しながら定格出力を維持しているが、運転期間の末期において、ホウ素濃度の希釈を行なわず、燃料の燃焼に伴い電気出力が低下していく運転をコーストダウン運転という。

(1) 原子炉本体
(2) 原子炉冷却系統設備
(3) 計測制御系統設備
(4) 燃料設備
(5) 放射線管理設備
(6) 廃棄設備
(7) 原子炉格納施設
(8) 非常用予備発電装置
(9) 蒸気タ−ビンおよび蒸気タ−ビン付属設備

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台あるポンプのうち、Bポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインペラ等の内部部品について点検する。
(2) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−2参照)
 海外における原子炉冷却系統設備配管部での損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取り替える。
(3) 1次冷却材系統脱気装置設置工事(図−3参照)
 1次冷却材系統における溶存酸素の低減を図り、応力腐食割れに対する環境改善を行なうとともに、1次冷却材脱気操作の短縮を図るため、脱気装置および接続配管を設置する。
(4) 発電機固定子コイル取替工事(図−4参照)
 発電機の固定子コイルについて、絶縁物の材料を現在のポリエステル樹脂から、耐久性に優れたエポキシ樹脂に変更したものに取替える。

2.

燃料取替計画
 燃料集合体全数157体のうち、60体を取り替える予定である。
 新たに装荷する燃料集合体60体のうち、48体は新燃料集合体(全て高燃焼度燃料集合体)である。

3.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−5参照)
(1) 再生熱交換器の点検
 美浜発電所3号機の再生熱交換器は、内筒を有しない構造であるが、連絡管溶接部、連絡管エルボ母材部の超音波探傷検査(36箇所)を実施し、健全性を確認する。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(38箇所)を抽出し、今定期検査以降、計画的に健全性の点検を実施する。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(16箇所)について、超音波探傷検査を実施する。

4.

運転再開予定
原子炉起動・臨界  平成12年9月下旬
発電再開(調整運転開始) 平成12年9月下旬
定期検査終了(営業運転再開) 平成12年10月下旬