[記者発表][平成12年度8月]−[23日15時30分記者発表] 原子力安全対策課
大飯1号機の定期検査状況について(燃料取出作業の一時中断について)(12−49)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 大飯発電所1号機(加圧水型軽水炉;定格出力117.5万kW)は、平成12年7月31日から第16回定期検査を開始し、8月11日から原子炉内にある燃料集合体(全193体)の取り出し作業を実施中のところ、8月13日10時50分頃、126体目の燃料取り出し作業として、燃料取替クレーンの燃料つかみ装置を燃料集合体の上部に下降させたところ、燃料つかみ装置が通常より約5cm高い位置で燃料集合体上部ノズルに結合したことを示す表示灯が点灯し、燃料つかみ装置が動かない状況となった。
 このため、水中カメラにて燃料集合体上部を確認したところ、燃料つかみ装置の一部が正常の位置からズレ、燃料集合体と干渉していることが確認された。

<燃料つかみ装置と燃料集合体の干渉状況>

燃料つかみ装置にあるガイドピン2本のうち、1本が燃料集合体上部ノズルのガイド穴に挿入されず、外側に外れている
燃料つかみ装置のグリッパーフィンガー(つかみフック)の突起部2ヶ所が燃料集合体の板バネ(リーフスプリング)の下に入り込んでいる

 このため、燃料取替クレーンの操作とともに専用の特殊工具を製作し、ガイド穴から外れているガイドピンを引き上げ、燃料集合体の板バネと干渉しているつかみフックを取外す作業を行なった結果、本日9時25分、燃料集合体と燃料つかみ装置の干渉はなくなり、正常な状態に復旧した。
 この事象による環境への放射能の影響はない。

 今回の燃料取り出し作業の状況を調査した結果、作業は、定められた手順を遵守して実施されており、原因としては、燃料つかみ装置のガイドピンが燃料集合体上部ノズル位置からわずかにズレた状態で下降したことが考えられることから、今後、装置の先端部を監視できるよう水中カメラを設置し、位置の確認を確実に行うよう改善することとした。
 また、燃料つかみ装置のグリッパー部についても、今後詳細な点検を行ない、必要な措置を講じるとともに、燃料取替クレーンおよび燃料つかみ装置の健全性を確認した上で、燃料取り出し作業を再開する予定である。今回の事象により、10月下旬頃の発電再開(調整運転開始)時期は、11月中旬頃に遅れる見通しである。

 なお、これまでに取り出した燃料集合体125体について、漏えい検査を実施したところ、1体の燃料に漏えいが確認されているが、燃料取り出し作業を再開した後、残りの燃料集合体68体についても漏えい検査を実施する。


燃料取替状況図
状況図