[記者発表][平成12年度9月]−[1日14時記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所3号機の定期検査状況について(A−蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果および異物の調査状況)(12−53)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、平成12年7月28日から第18回定期検査を実施しているが、A−蒸気発生器伝熱管の健全性確認のため、伝熱管全数について渦流探傷検査(ECT)を行っていたところ、隣接する伝熱管3本の高温側管板直上部において、外面からの減肉を示す信号指示が認められた。
 このため、8月24日に、当該蒸気発生器二次側の管板上面を小型TVカメラにより点検した結果、信号指示が認められた伝熱管3本の間に板状の異物(約4〜5cm四方)が確認された。[平成12年8月25日 記者発表済]

[蒸気発生器伝熱管の点検結果]
A−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本)の渦流探傷検査(ECT)の結果、減肉信号指示が認められた3本以外に、有意な信号指示は認められなかった。また、念のため、BおよびC−蒸気発生器全数について渦流探傷検査(ECT)を実施中である。
異物取り出し後、減肉信号指示が認められた伝熱管3本について、小型TVカメラにより外面観察を実施した結果、異物と接触していたと推定される箇所に摩耗と思われる傷が認められた。

[異物の調査状況]
 異物について、蒸気発生器内から回収した後、研究施設にて、外観観察、断面組織観察、化学成分分析等の詳細な調査を実施した。
外観観察の結果、表面は黒色のスケールで覆われており、伝熱管や管板部と接触していたと推定される箇所に、金属光沢が認められた。異物は縦約54mm、横約42mm、厚さ約0.3〜2.0mmで、皿状に湾曲した形状であった。
断面組織観察の結果、金属組織と酸化物が混合した組織であること、および多数の空洞が存在することが確認された。
化学成分分析の結果、鉄が主成分であり、その他には、マンガンやケイ素などに加え、銅が微量認められた。

 以上の調査の状況から、回収した異物は、機器や配管、工具等に使用している材料ではなく、金属溶断作業等による生成物の可能性があると推定された。今後、発見された異物の発生源等を特定するため、2次系の給水系統の工事実績や、異物の生成メカニズム等の調査を実施する。

[その他の点検結果]
全ての蒸気発生器(3基)の管板上面について、小型TVカメラにより全面を点検した結果、異物等は確認されなかった。
また、高圧給水加熱器から蒸気発生器内までの主給水系統設備のうち、異物の滞留する可能性のある箇所についても、小型TVカメラによる点検を行うこととした。


(通商産業省によるINESの暫定評価尺度)

基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−


A蒸気発生器伝熱管のECT信号指示管状況図
異物状況図・信号指示が認められた伝熱管状況図