[記者発表][平成12年度10月]−[20日10時記者発表] 原子力安全対策課
美浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について(12−64)

 このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。

 美浜発電所3号機(加圧水型軽水炉;定格出力82.6万kW)は、平成12年7月28日から第18回定期検査を実施していたが、10月23日に原子炉を起動し、翌24日に臨界となる予定である。
 その後は諸試験を実施し、10月下旬(10月25日頃)に定期検査の最終段階である調整運転を開始し、11月下旬には通商産業省の最終検査を受けて営業運転を再開する予定である。

1. 主要工事等
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査(図−1参照)
 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、3台あるポンプのうち、Bポンプについて、主フランジボルト、締め付け部等耐圧部の健全性を確認するとともに、分解検査としてインぺラ等の内部部品について点検した。
(2) 原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事(図−2参照)
 海外における原子炉冷却系統設備配管部での損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統設備の小口径配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取り替えた。
(3) 1次冷却材系統脱気装置設置工事(図−3参照)
 1次冷却材系統における溶存酸素の低減を図り、応力腐食割れに対する環境改善を行なうとともに、1次冷却材脱気操作の短縮を図るため、脱気装置および接続配管を設置した。
(4) 発電機固定子コイル取替工事(図−4参照)
 発電機の固定子コイルについて、絶縁物の材料を現在のポリエステル樹脂から、耐久性に優れたエポキシ樹脂に変更したものに取替えた。

2.

蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
 A−蒸気発生器伝熱管3,382本について、渦流探傷検査を実施した結果、3本の伝熱管に、高温側管板直上部に欠陥の可能性を示す有意な信号指示が認められたため、蒸気発生器の2次側を点検した結果、管板上面に大きさ約4〜5cm四方の板状の異物が確認された。
 異物混入の原因調査の結果、前回の定期検査時に実施した金属溶断作業の際に生じた異物が、主給水配管内に混入し、その後、蒸気発生器内に流入し伝熱管と接触したことにより伝熱管外面に摩耗減肉が生じたものと推定された。
 対策として、当該伝熱管3本の施栓を実施するとともに、異物管理の徹底を図ることとした。
 なお、BおよびC−蒸気発生器の伝熱管(各3,382本)についても渦流探傷検査を実施したが、有意な信号指示は認められなかった。[平成12年9月18日 記者発表済]

3.

燃料集合体の検査結果
 燃料集合体の22体について、外観検査を実施した結果、異常は認められなかった。
 また、燃料集合体全数157体のうち、61体を取り替えた。このうち、48体は新燃料集合体(全て高燃焼度燃料集合体)である。

4.

敦賀発電所2号機事故を踏まえた点検(図−5参照)
(1) 再生熱交換器の点検
 美浜発電所3号機の再生熱交換器は、内筒を有しない構造であるが、連絡管溶接部、連絡管エルボ母材部の超音波探傷検査(36箇所)を実施し、健全であることを確認した。
(2) 検査の充実
高サイクル熱疲労割れの点検
 過去の高サイクル熱疲労による国内外の損傷事例を踏まえ、高温・低温水の合流による温度変動が生じる類似対象箇所(38箇所)を抽出し、健全であることを確認した。
格納容器内第3種管の検査の充実
 設備の健全性に係る検査充実の観点から、第3種管のうち、格納容器内でプラント運転中に第1種管と同等の温度、圧力の1次冷却水が流れている再生熱交換器から化学体積制御系抽出系統および充てん系統の主冷却材管までの範囲(16箇所)について、超音波探傷検査を実施し、健全であることを確認した。

5.

次回定期検査の予定
 平成13年冬頃